これまでの販売モデルは、企業側が主導権を握り、製品やサービスを押し売り(プッシュ型)していた。しかし、今後の主導権はコンシューマが握る。自らで欲しい商品を見つけて引き寄せる(プル型)モデルに変化している。顧客を中心としたマーケティングが重要になっているのは言うまでもない」
そう力説するのは、米Teradataで最高マーケティング責任者(CMO)を務めるLisa Arthur氏である。
10月19~23日の日程で、米テネシー州ナッシュビルで開催された米Teradataのユーザーコンファレンス「Teradata 2014 PARTNERS」では、200を超えるユーザー事例セッションが行われた。中でもマーケティング――特に顧客理解のためのデータ活用――に関するセッションでは、具体的な事例が数多く紹介された。
米国Teradataで最高マーケティング責任者(CMO)を務めるLisa Arthur氏
Arthur氏は最近のマーケティングトレンドについて、「製品やサービスありきのビジネスではなく、顧客中心(カスタマー志向型)のビジネスにシフトしている。少なくとも米国では『One to Oneマーケティング』が主流となっている」と説明する。
千趣会で販売企画本部マーケティング部顧客戦略チームマネジャーを務める西口浩司氏
顧客の属性や購買行動を分析することで、個々のユーザーに最適なアプローチがとれる。それを実現するためには、企業内に点在する顧客データを一元的に管理し、「ユーザーセントリック(顧客を核にすること)」を軸にデータ分析することが不可欠だ。単なるデモグラフィックデータなどでユーザーをセグメントするのではなく、「ユーザーの振るまいデータも含め、その先の行動を予測し、対応を考える」(Arthur氏)ことがビジネスの成功を左右するという。
例えば、女性向けカタログ通信販売「ベルメゾン」を手掛ける千趣会も、オンライン上での購買データを基に「ユーザーインサイト」を分析している。顧客の行動予測を行うことでエンゲージを高めていく施策につなげたい考えだ。同社販売企画本部マーケティング部顧客戦略チームのマネジャーである西口浩司氏は、「購買までの詳細な行動履歴を分析することで、各顧客に最適なアプローチを取ることができる」と語る。