日本のビッグデータ活用は、米国よりも2~3年遅れていると言われている。その背景には、企業内組織のあり方や費用対効果に対する考え方の違いがあるようだ。日本でもビッグデータ活用が浸透するには何が必要なのか。米Teradataで最高経営責任者(CEO)を務めるMichael F. Koehler氏と、日本テラデータ代表取締役社長の吉川幸彦氏に話を聞いた。
--Clouderaとのパートナーシップ提携など、近年は他ベンダーとの協業が多いように感じる。その戦略的意図を教えてほしい。
米TeradataでCEO(最高経営責任者)を務めるMichael F. Koehler氏
Koehler氏 われわれは従来からパートナーを重視しており、その姿勢は今後も変わらない。ClouderaやmongoDBとのパートナーシップ提携は、DWH(Data WareHouse)を核としたビッグデータ市場のエコシステムを強固にし、顧客にとって最適なデータ分析環境を提供するためのものだ。もちろん、顧客から「今、利用しているデータリソースとテラデータ(Database)を連携させたい」との要望もあった。
--今回のコンファレンステーマは「DataDriven(データ駆動型)」だ。データ駆動型の分析が普及することで、どのような市場が活性化すると見ているか。
Koehler氏 すべてのビジネスは、データ駆動型分析によって新たな価値を生み出すと考えている。例えば、米国小売の最大手であるWal-Martは、「データはビジネス成功のカギ」と捉えてビッグデータを活用し、ビジネスに大きなインパクトを与えてきた。
また、データ駆動型分析とそれを実現する新技術は、今までは存在しなかったビジネス市場を創出する。よく挙げられる例は、テレマティクス(通信機能やGPS機能を利用してサービスを提供する)システムを搭載した自動車だ。あらゆるデータをやり取りできることから、新たなサービスが続々と生まれている。
--実際にビッグデータ活用で実績を上げている企業で注目している事例があれば教えてほしい。
Koehler氏 具体的な企業名を出すことは避けるが、先述した自動車の例がその代表格だろう。また、航空会社では飛行機の各部位にセンサーを取り付けて稼働データを収集し、故障率を予測したり、在庫調整に利用したりしている。
今、データ活用に積極的な企業には「CDO:Chief Data/Digital Officer(最高データ/デジタル責任者)」のポジションがある。10年前では存在しなかった役職だ。企業にとってデータが重要資産になっている証しだろう。