“妖怪”でセキュリティを学ぶコンテンツも--「NO MORE 情報漏えいプロジェクト」始動 - (page 2)

吉澤亨史

2014-11-01 08:00

 監修を務める徳丸氏は、かつて「情報格差:デジタルデバイド」がの問題が指摘された頃は主に情報の量が問題であったが、現在はデマや詐欺など情報の質が問題であると説明した。実際に、間違った内容や読者に誤解を与える記事を示し、品質の低い情報が氾濫している中で、質の高い情報を必要な人にいかに届けるかが重要であるとした。

 徳丸氏は従来の“悪い”解説の問題点として「古い常識の劣化コピーに過ぎないもの」「正確だが難解すぎるもの」「抽象的すぎて、どう行動したらよいかわらないもの」など挙げ、その上で「NO MORE 情報漏えい」サイトの場を借りて、高品質な情報を提供したいと意気込みを語った。また、「現役のセキュリティコンサルタントの立場から、最新の具体的な行動指針をお届けしていく」と述べ、プロジェクトの成功を祈るとした。

 またMOTEXでは同プロジェクトの第一弾として、日本初となるスマートデバイス紛失・盗難対策ツール「LanScope An Free」を11月末から無償で提供すると発表した。ここで再び池田氏が登壇し、説明とデモを行った。同ツールは、スマートフォン、タブレットの資産管理、行動管理、セキュリティ対策を実現するスマートデバイス管理ツール「LanScope An」の紛失・盗難対策機能を限定して無償提供するもの。

 同ツールは、iOS、Android、Windowsスマートフォン、タブレットの紛失/盗難対策として「リモートロック(遠隔ロック)」「リモートワイプ(遠隔データ消去)」「パスワードポリシー」の3つの機能を搭載している。また、インストールや操作方法に関する問い合わせについては、同社が無償で電話やメール対応できるサポート体制を構築しているという。

 記者発表では、ラックの取締役である西本逸郎氏が「情報漏えいに対抗する」と宣言した。情報漏えい事件は要因を外部と内部に分けることができるが、外部からの間接的な漏えいと内部からの故意による漏えいには従来の対策ではなく、新たな対策を考慮すべきとした。

 また西本氏は「DataBase Security Consortium」によるアンケート結果を示した。これによると、3割の社員が給料に満足しておらず、2割の社員が会社を好きではなく、そして1割の社員が「データベース内の情報をこっそり売却するかも知れない」と答えている。不正に手を染める者はたいてい末端の技術者であり、社内だけでなく再委託先や派遣社員というケースが多い。また、早期から取り組んでいるところが意外にも漏えいしやすいという。

 内部不正には「見つかるとは思わなかった」というタイプと「見つかってもたいした罪にはならない」というタイプがおり、前者には防止策だけでなく暴く仕掛けを作ることで、後者には営業秘密不正競争防止法によって管理できる可能性があると西本氏は指摘した。さらに悪意のあるケースもあるので、情報を持ち出させない対策も重要であるとした。なお、ラックは今回エンドースメントのみで、同プロジェクトには参加していない。


エンドースメントを行ったラックの取締役である西本逸郎氏(左)、
監修を担当するHASHコンサルティングの代表取締役である徳丸浩氏(右)

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