ハードウェア移行のもう一方の選択肢は、「物理サーバから仮想(virtual)サーバへ」(P2V)の変換を行うことだ。P2V移行では、専用回線経由で物理マシンを仮想マシンに変換することになる。P2Vには2つの目的がある。1つ目は、ハードウェアコストを最小限に抑えながら、あるデータセンターから別のデータセンターへワークロードを移行することであり、2つ目は、仮想プラットフォームに移行することによって、データセンターを変更することだ。P2Vによる移行は、よく採用されている選択肢だ。それは、エンジニアが以前のデータセンタープロジェクトの一環として、こうした変換作業には既に慣れているからだ。
データの移行
アプリケーションデータを、ある場所から別の場所に移動するのは、データセンター移設の中で最も複雑な部分の1つかもしれない。シンプルな選択肢は、テープかハードドライブを使ってバックアップと復元を行うことだ。しかし、「リフトアンドシフト」の移行と同じように、バックアップと復元を行う方法では、サービスをタイミング良く回復できる範囲が制限されている。さらに、バックアップと復元の方法はデータ移行の方法としては最適ではない。この方法は、データリカバリの選択肢が限られている、ディザスタリカバリに適している。
データ移行の大半で選ばれている主な手段が、専用回線を設定することだ。データセンター間を専用回線でつなぐことで、移行担当チームは、ハードウェアやソフトウェアの同期機能を活用して、データを移行することができる。データを移行できることのほかに、この方法を活用して、P2PやP2V、あるいは「仮想から仮想」(V2V)といった移行方法を実施することが可能だ。
多くの組織は、データセンター間を複数回線でつなぐことを選んでいる。接続性としては、最低で2つの回線が必要になる。1つ目の回線は、通常のエンドユーザーや、データセンターからデータセンターへのトラフィックをサポートする。後者は、Active Directoryのようなアプリケーションや、アプリケーション間のトラフィックをサポートするためだ。2つ目の回線は、通常1つ目の回線よりも高速で、データ同期のために使用する。2種類の接続を用意することで、全く異なる2種類のトラフィックが互いに干渉することを防ぐ。
結論
成功するデータセンター移設の戦略は、移設作業に先だって、可用性に関わる課題を洗い出すところから始まる。必要条件が揃えば、技術的な解決策は単純なカテゴリに分けられる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。