IDC Japanは10月30日、国内ITサービス市場のベンダー競合調査の結果を発表した。2014年3月期は、主要事業者14社のうち13社がプラス成長を遂げており、金融、政府、公共分野の大型案件の投資が進む中、年度の後半に業績を伸ばしたベンダーが多く見られるという。

2014年3月期国内ITサービス市場の主要ベンダーの産業分野別売上高と前年比成長率(IDC提供)
IDCの定義によると、国内ITサービス市場において2014年3月期に売上高が1000億円を超える主要ベンダー14社のうち13社は、前年度比プラス成長となった。野村総合研究所(NRI)、大塚商会の2社は2ケタの前年度比成長率であり5%以上となったベンダーは、日本ユニシス、東芝ソリューション、新日鉄住金ソリューションズを加えた5社だった。
2009年3月期以降、国内ITサービス売上高が2ケタ成長を遂げたベンダーはなかったことからも、市場が成長軌道を歩んでいることがうかがえるとした。
産業分野別にみると、分析対象とした金融、製造、流通、通信/メディア、政府/公共、その他産業の6つの分野のうち、金融、政府/公共分野における売り上げが主要ベンダーの売り上げに影響を与えており、2014年3月期は、この両分野で売り上げを拡大したベンダーが多く見られたという。
金融ではメガバンクなどの統合案件やその周辺システム、少額投資非課税制度(NISA)関連案件、地域金融におけるITインフラ刷新など幅広く投資が進んだほか、政府/公共では中央官庁向けの売り上げを年度の後半に大きく伸ばしたベンダーが目立ち、一部でマイナンバー関連案件による売り上げ増も見られる。
サービスセグメント別では、上記を反映し、システムインテグレーションやITコンサルティングなどを含むプロジェクトベースで売り上げを拡大したほか、ITアウトソーシングにおけるデータセンター事業でも売り上げを拡大する ベンダーが多く見られた。
IDC Japanでは、2015年3月期以降も金融や政府/公共分野の大型案件を中心にIT投資が見込まれる中で、ベンダーは引き続き顧客主導型案件を売り上げ/利益につなげることと、自ら主導し、クラウドやビッグデータ、アナリティクス、モビリティ、ソーシャル技術などを活用しつつ新たな領域のビジネスを開拓することが同時に求められているとしている。