データセンターライフサイクルサービス 部長の唐木眞氏
新サービスの詳細は、データセンターライフサイクルサービス 部長の唐木眞氏が解説した。唐木氏はまず、富士キメラ総研の調査を引用しながら、築年数が経過したデータセンターが年々増加している現状を説明した。調査によると、老朽化データセンターのサーバルーム面積は、2013年の47万平米から2018年には61.9万平米に達する見込みだ。そのうえで唐木氏は、経年データセンターには大きく4つの課題があるとし、次のように説明した。
「1つは、変化するニーズと初期設計の乖離だ。IT機器の高密度化やクラウドといった新しいITに対応できなくなっている。2つは、重要設備の限界値が到来すること。設備や機材の耐用年数、電力キャパシティの不足からサービスが停止するリスクを抱える。3つはコストが増え続けていること。スピードが求められそれに対応するように高コスト化が進み、事業採算性を圧迫している。最後は、最適化判断が難しいこと。IT技術者と設備技術者の両方の視点が必要だが、ライフサイクルが違うことなどもあり、適切な判断を下せる人材をどう確保するかが課題になっている」(唐木氏)
最適化判断の難しさの例としては、ラック間の温度が上昇したときに、ITのエンジニアとファシリティのエンジニアでは、異なるアプローチをとることを挙げた。ITのエンジニアは「使っていないサーバを停止しよう」という判断をする一方、ファシリティのエンジニアは「空調を強めよう」という判断をする。「どちらも正解だが、問題はどちらが効率的わかないということ」(唐木氏)だ。
そうしたなか、シュナイダーがすすめるのが、外部リソースの有効活用だ。外部の専門の視点を取り入れて、社内部門が協調することがベストプラクティスになるという。そうしたニーズにこたえるのがDCLSとなる。
DCLSには、日本で展開を開始した、コンサルティングサービス(計画、設計)とアセスメントサービス(分析)以外に、「プロジェクト・マネジメント(構築)」と「運用サービス(運用)」というメニューがある。これらをセットで提供することで、計画、設計、構築、運用、解析の各フェーズで、課題の発見から設計までのサイクルをトータルでまわすことができるようにする。
唐木氏は、コンサルティングサービスの特徴として、業種を問わず幅広いマーケットに対して、IT機器やファシリティ、エネルギーの専門家が担当できることを挙げた。また、アセスメントサービスの特徴としては、さまざまなグラフやマップを使って、電力、エアフロー、ラックの配置、冷却能力、データセンターの成熟度などを可視化できる点を挙げた。オプションサービスとして「建物地震リスク評価」なども提供するとした。