3Dを生み出すツールをクリエイターたちの手に届けて、彼らが3Dモデルの作成手法を試せるようにするというのが、この製品のアイデアであることは明らかだ。今のところユーザーができるのは、こうしたツールを活用して、Makerbotや3D Systemsといった企業が販売している既存の3Dプリンタでモデルをプリントすることだが、HPは、同社の3Dプリンタは最終的に印刷を高速化するだけでなく、精度も高めるとしている。
HPの3Dプリンタの製品ラインは長い間、発売が強く待ち望まれてきたものの、野心的なSproutの発表は驚きだった。
Sproutシステムを発明した、HPのディスティングイッシュトテクノロジストのBrad Short氏は、「デスクトップは終わったと言われている。われわれはそう思わない。現在いるところから大きく進歩することが必要なだけだ」と述べている。
HPは、Sproutの開発に4年かかったとしている。Short氏が研究室で取り組んでいた最初の1年を含めれば5年だ。同社はこのプロジェクトのためだけに70件の特許を出願している。さらに、この製品に関する研究には、4人の博士号取得者も参加している。このプロジェクトは、Short氏が革新的な新しいスキャン用デバイスの開発に取り組んでいた時に、そのスキャナは多機能プリンタではなくPCの一部であるべきだと提案したことから始まった。当時のHP社内では革命的なアイデアだったが、それが現在Sproutに組み込まれているデジタルスキャナのきっかけとなった。
HPは、この製品でターゲットにしているクリエイターの市場規模は、米国では1億3500万人と考えている。同社はまた、この製品から恩恵を受ける企業も米国で3500万社から4000万社あると考えている。
そうは言うものの、課題は残っている。Sproutは現在、3Dのスナップショット撮影はできるが、フル3Dキャプチャが提供されるのは2015年春になる予定だ。HPは29日に、ソフトウェア開発者向けにSDKをリリースした。ソフトウェア開発者はこのSDKで、既存のWindows 8アプリを使用してSproutを活用したり、SproutやWorkspaceをベースに新しいアプリを開発したりできる。
HPは、Sproutのアプリやプラグインに関して、特定のソフトウェア開発者との協力を既に進めている。Crayolaは、子ども向けにSproutの塗り絵アプリを開発している。また、Dreamworksは、ユーザーが同社のキャラクターやアニメーションツールを使って、場面をデザインして物語を作ることのできる、Sproutアプリを開発している。Dreamworksのアプリでは、コンピュータのスクリーンに場面が映し出されるとともに、投影されたキャンバス上でユーザーが操作をすることが可能だ。HPはこれを称賛している。
Short氏は、Sproutで目指すのは、デジタル世界と現実の世界の間を「意識せずに行き来するようになること」だとしている。
「これは、単に2つのスクリーンがあるPCではない。デュアルスクリーンを搭載した、新しい没入型のフォームファクタだ」(Short氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。