先般、ソフトバンクの社長を務める孫正義氏はインド企業2社に対し、8億4000万ドルを投資した。具体的には、急速に成長するオンライン小売業者のSnapdealに6億2700万ドル、同国生まれのUberの競合サービスOla Cabsに2億1000万ドルをそれぞれ投資した。
孫氏はインドを訪れ、今回の投資が単発的なものではないことも明かした。同氏は今後10年にわたって、インドの新興企業に約100億ドルを投資していく計画だ。現在57歳のソフトバンク創設者は15~20社の新興企業と面会して、潜在的な可能性を評価することも予定している。
以下は、インドの経済紙Mintに掲載された孫氏のインタビューの要約だ。同氏は、インドを投資先とした理由や、インドでさまざまな提携を追求する計画について説明している。
モバイルの急成長
インドでは、低価格スマートフォンのおかげで、モバイルインターネットが急激な成長を見せている。そのため企業がおびただしい数の顧客にリーチし、ソリューションを提供する機会が次から次へと生まれるだろう、と孫氏は述べる。
インド国内市場への注力
ソフトバンクはこれまで、インドの中でもInMobiのような世界に目を向ける企業に熱心だった(そのInMobiは途方もない成長を遂げた)。しかし今、同氏はそれと真逆の企業、つまり国内市場に目を向けるインドの新興企業に注目している。多くの人が英語を話すインドには大きな利点がある、というのが同氏の論拠だ。さらに、インドには同氏が世界一と考えるエンジニアリング分野の優秀な人材がいる。
2つの利点
英会話力のほかにも利点がある。それは、ソフトウェア分野におけるインドの能力の高さだ。シリコンバレーでも、最高のソフトウェアエンジニアはインド人だ、と同氏は話す。この2つの組み合わせは極めて強力だ。そうした企業は国内で勝利を収めた後、翼を広げて世界に羽ばたくことができる。
1社10分で10社と面会
孫氏はAlibabaに投資したとき、1社につき10分の時間配分で10社と面会する戦略をとっていた。インドでもその戦略を継続する計画だ。
忍耐が肝心
売上高に関して言えば、Snapdealは獲得した現金より支出した現金の方がはるかに多い、とMintが指摘したとき、孫氏はAlibabaも当初は慢性的な赤字体質で、10年間にわたって営業損失を計上した、と答えた。Alibabaが黒字に転換したのはこの3年のことで、2014年には数十億ドルの純利益を計上した。プラットフォームと事業の構築に注力すれば、残りのものは後から付いてくる、と孫氏は述べた。
インドはお買い得
実のところ、インドはお買い得だと孫氏は考えている。インドのGDPは世界第2位になると同氏は予想している。したがって長期的な視野に立てば、「目を閉じたままでも、投資をして莫大な利益を得られるのではないかと思えるほどだ」と同氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。