米国時間11月11日にラスベガスで開幕する「Amazon Web Services(AWS)re:Invent」カンファレンスでは、AWSが創設以来経験したことがないほどの激しい競争を目の当たりにする様子が垣間見えるだろう。
2013年のre:Inventでは、エンタープライズ向けや新サービスを網羅した多数の機能が目玉だった。2012年のre:Inventは、AWSがエンタープライズ分野を重視していることや、急速に成長するAmazonの事業部門が単なる副業でないことを認識させられたことで、注目を集めた。2014年のre:Inventでは、同社が触れたがらない3つの問題が頭をもたげるだろう。
- Googleのクラウドプラットフォームの急速な拡張と挑戦的な価格設定、スケール。
- 多くの機能を発表し、さまざまな企業との提携、「Windows Server」や「System Center」やその他のオンプレミスツールと「Microsoft Azure」の連携を通して、ハイブリッドクラウド分野を突き進められるMicrosoftの実力。
- 予想を下回る年末商戦の売上予測が出される中で、Amazonの投資や製品に関する失敗(例えば、「Fire Phone」)に疑問を呈する、ますます敵対的になっている投資コミュニティー。
1つ確かなことがある。AWSは「Echo」のような製品、さらに「Prime Instant Video」や「Mayday」といったそのほかのクラウド対応サービスを発表することで、Amazonの拡大政策を支えている。AWSは折よく、コンピューティングやストレージなどさまざまな製品を通して、多くのエンタープライズも支えている。
クラウドインフラストラクチャが普及する中で、大規模プロバイダー3社が地位を確立している。AWSがかつてのように新しい機会を享受できるかどうかは不明だ。「IBM SoftLayer」からHewlett-Packard(HP)、Rackspace、Verizon、Oracleまで、あらゆる企業を考慮に入れると、今日のクラウド市場では、多数の企業が激しい競争を繰り広げていることが分かる。AWSは軌道に乗るまでに数年間かかったが、競合他社はAWSの取り組みを鼻であしらうかのように追い上げている。AWSは今後さらに苦戦するだろう。Stifel Nicolausが作成した「ほかの」売上高に関するこのグラフを見ても、そのことが分かる。

筆者は、クラウドが成熟してきていることを理由に、AWSの成長に関する懸念は誇張されている、と異を唱えてきた。実際に、クラウド市場は多数のプレーヤーを支えられるだけの規模に成長するだろう。
ただし、AWSは顧客の満足度を維持し続けなければならない。Googleは現在、ライバルに引けをとらない機能の開発に取り組んでいる段階だが、今後エンタープライズ顧客を獲得する可能性もある。Microsoft Azureは強力なクラウド製品だ。そして、クラウド分野では今後、提携と相互運用性、とてつもない速度で進む革新サイクルがますます重要になっていくだろう。
re:Inventで注目すべきセッションには以下のものが含まれる。
- Coca-ColaのAWSへの移行
- AWSでの「Docker」の実行
- ハイブリッドデータセンターのアーキテクチャ
- クラウド上のモノのインターネット(Internet of things:IoT)についての概観
- アナリティクス
- AWSでのビッグデータプロジェクトの実行
- AutodeskによるAWSでの「Splunk」の活用法
- Azureとの契約争いについてのセッション
- NASDAQ証券取引所の「Amazon Redshift」への移行
- 医療機関や政府への導入に関するAWSのガイド
- さまざまなAWSカテゴリについての基本方針
- トラフィックの急増についてのベストプラクティス
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。