再び、強気な価格設定を恐れなくなった
1990年代、Microsoftの独占力が頂点に達していたとき、同社は「Internet Explorer」(IE)をすべてのプラットフォームで無料で提供するというたった1つの劇的な動きによって、競争環境を一変させた。
価格設定に関するMicrosoftの最近のいくつかの動きにも、それと同じ精神を見て取れる。
- iOS向けOfficeの最初のリリースでは、基本的な機能へのアクセスにさえ「Office 365」サブスクリプションが必要だった。先週より、中核的な編集機能は無料で利用できるようになった。iOSアプリにアクセスするためだけにOfficeサブスクリプションを購入したユーザーは、払い戻しを受けることができる。
- 「OneDrive」クラウドストレージの無料で利用可能な容量が着実に拡大している。現在、15Gバイトを無料で利用できる。そして、わずか年額70ドルのOffice 365サブスクリプションを購入したユーザーは、サブスクリプションの一部として容量無制限のOneDriveストレージを利用できる。
- コンシューマー分野で勝負するため、Microsoftはかつての中核製品「Windows」を無料で提供している。かつてWindowsに1コピーあたり20ドル以上を支払っていたハードウェアパートナーは、9インチ以下のスマートフォンおよびタブレットで使用されるWindowsを無料で入手できるようになった。

Windowsは今もドル箱だが、ついに聖域ではなくなった
10年前、WindowsはMicrosoftの事実上すべての営業利益の源だった。今日でも、Windowsは依然、Microsoftの売上高に貢献する大きな要素だが、もはやバランスシート上で最も大きな数字ではない。
それに貢献したのは誰なのだろうか。その変革の大半を担ったのは、前CEOのSteve Ballmer氏だった。2014年に最も大きく変化したのは心理的なものだ。
Nadella氏がCEOに就任するまで、「Windowsで最初に最高のものを提供する」というのが、Officeや「Skype」を含むMicrosoftのアプリおよびサービスの指針だった。もしそうした考え方が今も残っていたら、Microsoftは先週のiOS向けOfficeの発表を、対応するバージョンのWindows Phone向けOfficeの準備が整うまで延期していたかもしれない。
しかし、そうはならなかった。むしろ、先週以降はモバイルデバイスで最高のOffice体験を利用したかったら、Windowsタブレットを下に置いてiPadを手に取るべき、という状況になっている。
Microsoftが古い体質のままだったら、こんなことは不可能だっただろう。