2014年のTony Sale Awardの勝者が発表された。英国のComputer Conservation Society(コンピュータ保存協会)が主催するこの賞を勝ち取ったのは、1950年代の業務用コンピュータ「IBM 1401」を復元した、カリフォルニア州マウンテンビューのコンピュータ歴史博物館におけるプロジェクトと、第2次世界大戦中にKonrad Zuse氏が開発した機械式計算機「Z1」をバーチャルなかたちで復元した、ドイツのベルリン自由大学におけるプロジェクトの2つ。共同受賞となった。
コンピュータ歴史博物館のIBM 1401復元プロジェクトは10年前から続けられていた。このプロジェクトは2004年にドイツから送られてきた1台のコンピュータから始まった。しかし、同コンピュータで使用されたいたゲルマニウムトランジスタやクリスタルダイオードの多くは腐食していた。引退したIBMの技術者やフィールドサービス担当者、プログラマーらが参加した同プロジェクトは、こういった逆風の吹くなか船出した。
受賞したRobert B Garner氏(写真左)とRaul Rojas教授
提供:CCS
ところが2007年、チームはコネチカット州デリエンの個人宅の地下室に置かれていたIBM 1401も入手。IBM 1401は決して家庭向けではなかったが、これは家族経営の会社で1995年まで使用されていたものだ。その基板のほとんどは完全に動作する状態であり、同マシンは6カ月で再び稼働する状態に復元できた。
完成したシステム(磁気テープドライバ、紙テープリーダ、穿孔機、プリンタを含む)は、コンピュータ歴史博物館で1週間、展示される。
1401は当時、最も普及したコンピュータで1万5000台以上が販売された。CCSによると、「1960年代半ばには、世界のコンピュータの半分を占めるようになった」という。
一方、Z1は対照的に短命に終わった。Zeus氏が1930年代に両親のアパートで開発に着手したが、Z1は戦争でやられてしまった。1980年代、Zuse氏は自らZ1を復元し、これがベルリンのTechnology Museumで現在、展示されている。しかし、この複雑な機械式計算機は通常の処理には安定性が不十分だったため、Raul Rojas教授と学生らが3Dシミュレーションを作成し、これは現在、ウェブで公開されている。
Tony Sale Awardは、世界初の電子計算機「Colossus」を復元したチームを率いたTony Sale氏(1931~2011年)を記念して、2013年に創設された。Google UKがスポンサーとなっている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。