Alcatel-Lucentは10月にエンタープライズ部門を売却したが、同社の最高経営責任者(CEO)Michel Combes氏は、通信関連企業としての同社の成長における次の段階では、非サービスプロバイダー分野の顧客獲得に重点を置くことになると述べている。
米国時間11月12日、ニュージャージー州で開催された同社の「Technology Symposium」の基調講演でCombes氏は、18カ月前に開始した「The Shift Plan」の最初の段階が完了したと述べた。The Shift Planでは、同社の従業員数を2015年末までに1万人削減する計画になっている。
Combes氏によると、同社はゼネラリスト的な企業から、IPやクラウド、通信技術に特化した専門的な企業に変身しつつあるという。
「20カ月前、当社はまったく異なる状況に置かれていた。つまり、財政難に陥っていた。会社自体が倒産寸前と言ってもよいくらいだったのだ。今日、財政の立て直しが完了したと報告できることをうれしく思う。会社の貸借対照表を非の打ちどころのないものにするために(中略)直近の12カ月で55億ユーロを調達した。現在では健全な貸借対照表となっている」(Combes氏)
Combes氏が12日に述べたところによると、Alcatel-Lucentは8月の時点で、組織再編のための借り入れに対する担保にあてた資産を完全に自社のものにしており、2006年以来初めてとなるキャッシュフローの黒字化を2015年までに実現するという目標に向けて順調に進んでいるという。
「ネットワークはまさに、デジタル経済の基盤をなすものであり、あらゆる業界のビジネスモデルにおいて重要な要素となりつつある。ネットワークの復権だ」(Combes氏)
同氏によると、VDSLのベクタリングサービスや今後普及が見込まれるG.fast技術を含むFTTxといった、固定回線や無線のネットワーク技術の推進に注力することで、接続性はAlcatel-Lucentの「主要な収入源」であり続けるという。これらはすべて、従来のカッパー(銅線)ネットワークの速度をファイバー技術のコンポーネントによって向上させるためのものだ。また、コアネットワークも同様に重要であり、ネットワークのスケーラビリティを確保、管理したいという顧客の要望の高まりも重視していくという。
「ネットワークリソースはソフトウェア定義ネットワーク(SDN)により、計算リソースやストレージリソースと同様に簡単に消費できるものとなる。われわれは複雑さを解消する鍵が、ネットワーク機能仮想化(NFV)とSDNの組み合わせにあると確信している」(Combes氏)
Combes氏によると、Alcatel-Lucentは世界的に規模を縮小しているが、同社の研究部門であるBell Labsへの投資は年間22億ユーロを維持しており、イスラエルと英国に拠点が開設されたという。
Combes氏は、研究対象がレガシー製品から新しい市場へとシフトしており、これにはIP市場や仮想ネットワークサービス、ソフトウェア定義型の仮想プライベートネットワーク(VPN)に挑戦することも含まれることを示唆した。
同社は10月、エンタープライズ部門をChina Huaxin Post & Telecommunication Economy Development Centerに2億200万ユーロで売却したが、Combes氏はAlcatel-Lucentがエンタープライズ分野に再び参入すること模索していると述べ、同社がさらなる技術提携の締結を試みようとしていることも示唆した。
本稿を執筆したJosh Taylor記者は、Alcatel-Lucentの招待で今回のシンポジウムを取材した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。