一方で、IBM、HP、Oracleといった従来のエンタープライズベンダーがクラウド時代を勝ち抜くためには、自ら大変革する必要があることを強調した。これが冒頭の発言である。歯に衣着せぬところがチラリとうかがえたひとコマだった。
1954年11月13日生まれのMcNealy氏は、昨日60歳になった。とはいえ、写真の通り、眼光鋭く独特のオーラは健在だ。引き続きIT業界のオピニオンリーダーとしての活躍を大いに期待したい。
「OpenStackはIT分野に大きな変革をもたらす」(日本HP 有安健二 執行役員)
日本HP 有安健二 執行役員
日本ヒューレット・パッカード(日本HP)が先頃、オープンソースのクラウド基盤構築ソフトウェアであるOpenStackの商用ディストリビューション「HP Helion OpenStack」を11月25日から国内で販売開始するとともに、そのプロフェッショナルサービスも提供開始すると発表した。同社のテクノロジーコンサルティング事業を統括し、日本を含めたアジア太平洋地域のプロフェッショナルサービス事業も担当する有安氏の冒頭の発言は、その発表会見で、OpenStackの今後のインパクトについて語ったものである。
HP Helion OpenStackは、米HPがクラウドサービスの強化策として今年5月に発表した「HP Helion」の中核製品である。HP HelionはOpenStackをベースとしたクラウド関連の製品・サービスからなる新ポートフォリオで、HPはこの事業に今後2年間で10億ドル以上を投資すると明言している。
HPはOpenStackの推進団体であるOpenStack Foundationの創設プラチナメンバーとして、早い段階からOpenStackプロジェクトに戦略的に取り組み、これまで4年間にわたりエンタープライズ環境で大規模なOpenStackベースのクラウドサービスを稼働してきた実績がある。
HP Helion OpenStackやプロフェッショナルサービスの内容については関連記事を参照いただくとして、ここではOpenStackがもたらす変革について有安氏の見解に注目したい。
同氏はまず、OpenStackによってコンピュータのソフトウェアアーキテクチャが大きく変わっていくと言う。その理由は「従来のOSだけでなくミドルウェアの領域までOpenStackがカバーするようになる」からだとしている。また、クラウドに最適化された機能や操作性が、設備投資や運用管理コストの低減に大きく貢献していくとも強調した。
OpenStackはHPをはじめ、多くのクラウド関連ベンダーが事業を進めており、着実な広がりを見せている。だが、予測しづらいのは、クラウド基盤として今後、どれだけの市場シェアを占める存在になるかだ。例えば、同じオープンソースとしてサーバOS市場で確固たるシェアを占めているLinuxのような存在になり得るのか。
発表会見の質疑応答でその点を聞いてみたところ、有安氏は「とくに5月にHP Helionを発表して以来、お客様から非常に多くの引き合いがあり、われわれとしては強い手応えを感じている。その意味で言うと、Linuxレベルの存在にはなると確信している」と答えた。HPの事業の成長がOpenStackの勢力拡大にも大きく影響すると見られるだけに、今後の取り組みに大いに注目しておきたい。