単純な製品やアイデアだと思えるものでよくある話だが、一見すると基本的な、あるいは直感的なものであればあるほど、その構築は難しくなる。同氏によると、Swayチームは解決が極めて困難な技術上の問題、具体的には任意の大きさの画面にコンテンツを見栄え良く配置するという問題を解決する必要があったという。「PowerPoint」では四角いスライドの上でデザイン/レイアウトを行うことが前提となっているが、Swayではオブジェクト配置の自由度がより大きくなっている。
Pratley氏は、テンプレートやソケットといったものを使わない方向に進むと分かっていたという。自動レイアウト描画エンジンを生み出すなかで、チームは2次元の紙のレイアウトをデザインする際のグリッドやカラムといった規則に縛られたくないとも考えていた。
「答えを見つけ出すためには人の心を読む必要もあった」とPratley氏は述べている。これは具体的には、ユーザーがコマンドから、あるいはメニュー上のドロップダウンリストから具体的な指示を出せない場合、ユーザーのやりたいことをどのようにして予想するのかということである。
Pratley氏によると、Office Labsが開発し、最終的に「Excel 2013」の一部としてリリースされた「Chart Advisor」がSwayの前身にあたるという。Chart Advisorは具体的な数値データ一式を与えられると適切なチャートのタイプを勧めてくれる。最も適切なチャートというものは、データが社会保障番号か給与かによって大きく異なってくる可能性があるというわけだ。
Swayチームは、写真のトリミングが適切となる場合に、そういった処理を実行する簡単な方法を導き出すために、中国や英国ケンブリッジ、ワシントン州レドモンドにあるMicrosoft Researchチームとも連携した。星の数ほどの画像を使い、時間をかけて磨き上げたアルゴリズムを使用することで、Microsoftは画像内の「変化に富む」すなわち興味が置かれる場所を特定できるようになった。これと顔認識や水平線といったヒントを併用すれば、Swayはトリミングが必要かどうか、そして必要であればそれがいつなのかを判断できるようになる。次回のアップデートでは、画像上のどの位置にテキストを上書きするかについてもよりスマートな判断ができるようになる予定だ。
機械学習という分野のテクニックを取り込むというのも課題の1つだとPratley氏は述べている。