--投資先を決める際には何を見て判断しているか。
判断基準はその企業がどのステージにいるかによって変わってくる。初期段階の企業と、すでに起業から時間を経た企業とでは判断基準が異なるのだ。ただ、どの場合でも言えるのは、その企業が参入する市場の大きさと、市場の破壊力はどの程度かという点、またその市場が今注目されるべき市場なのか、それとも10年後に注目される市場なのかということだ。
また、その企業のチームも重要な判断基準となる。すばらしいチームこそがすばらしいイノベーションを起こすのだ。経験も必要だが、ハングリー精神も必要だ。過去に起業の経験があり、さらに大成功したいと考えているチームの存在は重要だ。
当然のことだが、その企業が持つテクノロジには注目する。すばらしいテクノロジや知的財産こそが、企業価値を高めるためだ。
ここまでに話した基準は初期段階の企業についてだが、すでに成熟した企業については、今述べた市場やテクノロジ、チームといった要素に加え、顧客がどれくらいついているか、顧客のリピート率はどれくらいか、パートナーはどうかといった点を見るようにしている。
--今回「Intel Capital Global Summit」にて投資を発表した企業もそうした判断か。
もちろんだ。例えばイスラエルのStratoscaleは、データセンターの構築方法を最定義しようとしている。現在、起業家がソーシャルゲームやソーシャルネットワークアプリを構築する場合、コンピュータリソースやネットワークは簡単にスケールアップ、スケールダウンさせたいと考えるだろう。ユーザー数が上下するため、非常に柔軟なインフラが必要なためだ。
Stratoscaleは、データセンターのコンポーネントを細かく砕いてシンプルにし、必要なものだけを利用できるようにしている。そのスケーラビリティを可能にするための複雑な技術をStratoscaleは提供している。これは、スケールアップおよびスケールダウンの必要がある企業にとって非常に重要な技術だ。
この市場はすでに大きくなっている。Amazon Web Services(AWS)が巨大な市場をすでに作り上げているが、AWSだけに頼りたくないユーザーも存在する。AWSは中小企業に人気だが、Stratoscaleはエンタープライズ向けに作られたソリューションで、クラウドサービスに最適だ。
創業者のAriel Maislosは、過去に2社を起業して売却した経験がある。うち1社はAnobitというフラッシュメモリを開発する企業で、Appleに売却した。
今回Intel Capitalは、投資はもちろんのこと、今後同社がエンタープライズの顧客にスケーラブルなクラウドテクノロジを提供するための支援もすることになる。同時に同社は、Intelベースのサーバの売り上げ増に貢献することになる。Intel Capitalは、投資先と顧客、Intelをつなぐ役目を果たしているのだ。