Windows 8が世に出たタイミングも、ビジネスユーザーにとっては不運だった。Windows 8が発売されたとき、多くの企業は骨董品になったWindows XPをどうリプレースするか悩んでいた。しかし、そういう企業の多くは、あまり進取性がなく、急進的なWindows 8の新デザインを恐れるタイプだった。
また、企業顧客はWindows 7を導入しようとしているところで、とても次のバージョンの製品に飛びつくような状況ではなかった。「多くの企業ユーザーは、Windows 8のPCをWindows 7にダウングレードした」とIDCのGillen氏は言う。
Windows 8:歴史の中での立ち位置
Microsoftはいくつかの問題をWindows 8.1で修正したが(スタートボタンは復活した)、やはり消費者や企業はこのOSを前向きに捉える雰囲気ではなかった。そして、Windows 8のチャンスは徐々に失われつつある(サポートは2023年まで継続される)。では、このMicrosoftの野心的な再発明の試みに、歴史はどのような審判を下すのだろうか。
「その意図は、イノベーションをもたらし、Windowsを新たに捉え直したものを作ろうとすることだった」とForresterのGownder氏は言う。「多くの意欲的な試みと、素晴らしいアイデアがあったが、それを実現したWindows 8は、ユーザーをやや置き去りにした」
また、GartnerのJump氏は、次のように指摘する。「Windows 8のゴールは、より小さいタブレットの形態におけるMicrosoftの存在を確立することだったが、わたしは同社がこれに成功したとは思わない。その理由は、タブレット市場がいまだにiOSとAndroidに支配されていることだ」
「社運を賭ける」という大げさな表現が使われたが、MicrosoftはWindowsの1バージョンで左右されるような大きさの企業ではない。「Windows 10」のリリースが準備されつつあるが、Windows 8が受けた評価を反映したものになっているはずであり、デスクトップユーザーとモバイルユーザーの両方が受け入れやすい、古いものと新しいものを上手に組み合わせたものになるだろう。エンタープライズ顧客や開発会社は、Windows 8よりもずっと早い時期からフィードバックを求められており、潜在的な問題は早いうちから修正される見込みだ。
Windows 8がリリースされてから、テクノロジ業界は再び変化している。タブレットの成長は鈍化し、PCの販売は数年間の減少を経て下げ止まった。来年は少し伸びる可能性まである。Microsoftのデザイン理念に加えられた変更は数多くあるが、Lenovoの「Yoga」シリーズのようなハイブリッドデバイスの登場に見られるような、PC市場での大きな変化を引き起こすには必要だったのかも知れない。
JP Gownder氏は次のように述べている。「売り上げと普及率の観点で言えば、Windows 8はMicrosoftの歴史上高いとは言えず、Windows 7よりはWindows Vistaに近いものになるだろう。これは、単純にユーザーがWindows 8を受け入れていないからだ。新しいOSの最終評価は、数字で下される」
また、同氏は次のように付け加えた。「わたしは(Windows)開発チームをよく知っている。彼らの努力を否定したくはないし、素晴らしいアイデアが持ち込まれ、多くの労力が投入されたのも確かだが、OSの最終的な評価は普及したかどうかで決まる」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。