ビッグデータによってCITIC銀行が得たメリット
不確実性の高い顧客のリスクコントロール
これまで、CITIC銀行はリスクレベルが不確実なグレー顧客へのカード発行を拒否していた。しかし、ビッグデータを活用した多元的なデータ分析アプローチによって、CITIC銀行は顧客のリスクレベル評価と信用格付けをより適正に行うことができるようなり、これまでは取りこぼしていた顧客へのカード発行をより積極的に行うことが出来るようになった。
このことは、カード承認率の大幅な改善につながった。CITIC銀行のオンラインチャネルでの新規顧客へのカード承認率は、このシステムの導入後には、以前の25%程度から70~80%へと急上昇した。CITIC銀行の累積クレジットカード発行枚数は、2013年の上半期には1879万枚に達し、中国招商銀行につぐ銀行業界2位となった。
図
顧客あたり支出の向上
天網・地網データベースによる緻密なマーケティングは、顧客の平均クレジットカード支出を大幅に向上させた。(図参照) まず、顧客がソーシャルメディアで共有する情報を基に、CITIC銀行は顧客が高い関心を持つ新しい商品やビジネスの領域を特定し、マーケティング活動の規模と期間を計画することができた。
加えて、CITIC銀行は顧客の位置情報から、近隣での特定の商店をお勧めすることができ、顧客のリアルタイムの取引情報から、CITICカードを利用しているその場で、CITICカードのスペシャルオファーを提示することができた。
さらに、クロスセリングの機会を最大化するために、ショッピングモールや通販店での顧客の過去の購入履歴を分析することで、CITIC銀行は顧客に対して最も適切な販促ギフトやおすすめ通販商品を選択する事ができるようになった。
また、顧客向けウェブサイトを通じて、CITIC銀行は既存顧客の特定のサービス分野に対するコメントや、ソーシャルメディア上でのホットスポットを特定することができるようになった。CITIC銀行はこの分析結果をもとに、それぞれの顧客に対して個別で特別なオファーを提示している。CITIC銀行の資料によれば、ビッグデータ技術を適用したいくつかのサービス分野では、取引量が300%増加したのに対して、伝統的なマーケティング活動を行った分野では10~15%成長にとどまっている。
顧客数の増加と深い顧客分析を通じて、CITIC銀行のクレジットカードを使った取引は、2013年の上半期で、前年比73%増の2000億元に到達し、クレジットカード事業からの収益は前年比50%増の38.66億元にまで成長をしている。