女性や若手にも働きやすい環境を、制度とカルチャーの両面から
職場には、「楽しさ」のみならず働きやすさも重要だ。各種の社内制度の拡充やカルチャー醸成にもIBSは力を入れている。
「特に重視しているのは女性や若手の人材に関する部分で、日々苦労しながらやっています。当社ではプロジェクト単位の仕事が多いわけですが、そのプロジェクトの中で子供を持つ母親が時短勤務をしたり、産休明けでも働けるような環境を整えるのは、かなり大変です。それは制度だけでなく、例えば子供は急に熱を出すといったこともありますから、受け容れる側すなわち、ほかのメンバーの意識も欠かせませんし、仕事の内容によっては顧客の理解が必要となる場合もあります。制度についても、もっと進んでいる会社も多いので、今はそれを勉強しながら取り入れているところです。この3年間で、産休後に職場復帰をする割合は5割くらいから8割くらいまで向上してきました」と長井氏は説明する。
こうした制度については、同僚や上司など周囲の理解不足などから、実際には利用しづらい場面も多いと言われる。そのため、制度を充実させるのと並行して、社員全体への啓蒙活動を実施したり、気軽に相談できる社内カウンセラーを配置するなどして、制度の実効性を高めようとしているわけだ。
マーケティンググループの田頭優子氏
取材に同席した田頭優子氏は、そうした「ママ」向けの在宅勤務や有休などの制度を活用しながら働いている。
「こうした制度を気兼ねなく使うことができるのは、それを許容してくれる文化が社内にあるからです。このような文化、成長を支援してもらえるフィールド、女性が戻りやすいような環境は、私たちも会社の仲間と一緒に作ってきたものでもあります」
また「(育休などの後にも)復帰したい職場でもある」との声もある。同社アーキテクト部の小川有子氏は、ユーザーインターフェース(UI)やユーザー体験(UX)の開発に取り組んでいる一人。
アーキテクト部の小川有子氏
「この業務には、ずっとかかわっていきたい、戻るのはここだ、と思っています。性別を問わず楽しく働ける職場であることが大きなポイントです。休んでいる間の業務も気になりますが、一人でやっている仕事ではないので、あえて気張るようなこともないかと思うのです」
社員のキャリア構築に関しても、人材サービス企業のグループ会社として、特に新卒で入ってきた社員を中心として充実を図っている。「業務コンサルティング」「ユーザーインターフェース/ユーザー体験」「アナリティクス」といった各キャリアへのパスを用意し、入社3年目くらいをめどに各自が選択していく環境になっているとのこと。また、社内の人材カウンセラーによるキャリア相談も行われる。