幸先の良いスタートを切りたいと考えているスタートアップの設立者は、スタートアップアクセラレーターやスタートアップインキュベーターの支援を受けることが多い。
「アクセラレーター」や「インキュベーター」という用語は、同じ概念を表すと考えられがちだ。しかし、初めて起業する人々がこれらに参加するつもりならば、理解しておくべき重要な違いがいくつかある。
アクセラレーターとインキュベーターはどちらも、起業家に早い段階から良い機会を提供する。スタートアップの設立者は、自分のビジネスを早く成長させるための支援を受ける。さらに多くの場合、後の段階で彼らのスタートアップに投資してくれるトップレベルのベンチャーキャピタルを引きつける可能性が高くなる。しかし、これらのプログラムは、スタートアップを成功させるための互いに異なる枠組みだ。
両種のプログラムについて、それぞれの目的を解説するところから始めよう。アクセラレーターは既にある企業の成長を「加速する」(アクセラレート)が、インキュベーターは、ビジネスモデルや会社を構築することを目的とし、革新的なアイデアを「生み出す」(インキュベート)。つまり、アクセラレーターはビジネスの拡大に焦点を当てているが、インキュベーターはイノベーションをより重視していることが多い。
アクセラレーター
最大の違いの1つは、それぞれのプログラムの仕組みだ。アクセラレータープログラムは大抵、期間があらかじめ設定されており、個々の企業が数週間から数カ月かけてメンターのグループと協力し、自分たちのビジネスを構築して、そのプロセスで生じる問題に対処する。最もよく知られているアクセラレーターにはY CombinatorやTechstars、The Branderyなどが挙げられる。
アクセラレーターのプログラムは応募プロセスから始まるが、トップレベルのプログラムは通常、選考が非常に厳しい。Y Combinatorが受け取る応募のうち、認められるのは約2%だ。Techstarsは、約1000件の応募から10件の枠を決めなければならない状況だ。
参加する会社は、少しの株式と引き替えに、少額のシード投資と、大規模なメンターネットワークへのアクセスを与えられる。このメンターネットワークは、通常はスタートアップの幹部や外部の投資家から構成されており、多くの場合、有望な会社にとっては最も価値あるものとなる。
このメンターネットワークは小さいものでもない。Techstars ChicagoのマネージングディレクターのTroy Henikoff氏によると、2013年のプログラムには153人のメンターが参加したという。
Y CombinatorのパートナーのAaron Harris氏は、アクセラレーターが必ずしも全体としてうまくいくかどうかは分からないが、Y Combinatorの成功はそのインセンティブへの取り組み方によるものだとしている。
「その成功の大部分は、インセンティブが一致していることが根底にある。良いプログラムは全ての当事者が完全に連携している。Y Combinatorでは、企業にアドバイスをするあらゆる当事者は、その企業の成功に関心を寄せている。同時にわれわれは、妨げとなるものをできるだけ制限している。不必要な会合を予定することもないし、参加企業に、広くて騒がしいコワーキングスペースで仕事をするよう強いることもない。