トップインタビュー

データを整理し、システム基盤を標準化、シンプルにしていく--日産 行徳CIO - (page 2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2014-12-11 07:00

--セキュリティについて、最近は大規模な情報漏えいが多く、内部犯行のケースも増えているが対策は。

 インフラ部分にセキュリティのソフトとモニタリングのツールを導入しています。特にメインで管理をしっかり回しているのはモニタリングです。また、マネージドサービスで24時間監視してもらっているほか、社内のCSIRT(Computer Security Incident Response Team)もリージョンごとにあります。どちらにしても、攻撃を100%防ぎきるのは難しいという前提で、できるだけ早く攻撃を把握し対応することに焦点を当てています。

 また、問題があるとしてネットワークから切り離したデバイスについては、基本的に専門会社に調査を依頼しています。一方で、ユーザーがメールの添付ファイルや本文内のリンクをクリックしてしまうことで、マルウェアに感染するケースもあります。このため、CSO(最高セキュリティ責任者)を設置、定期的にセキュリティ教育を実施しています。CSOの上にリスクマネジメントを担当する役員やチームがあり、情報漏えいが発生したときにはリスクマネジメントチームやCSOに通達がいき、迅速に対応できる体制を取っています。

 内部犯罪への対策も合わせて進めている対策はDLP(データ流出防止)です。その仕組みでは、USBやストレージデバイスを監視して、社内ネットワークにアクセスして大容量のデータをダウンロードしている場合や、ストレージに大容量データをコピーしているなど、怪しい動きをログでチェックしてアラートが上がります。これはメールも同様です。アラートが上がると、社内CSIRTがすぐにCSOに情報を送り判断を仰ぎます。特に日産は個人情報も製品情報もあるので、情報漏えいには常に注意しています。

 内部犯罪に関連して、グループ会社や関連会社に対してもセキュリティ対策を施しています。共通インフラを使っているグループ会社や関連会社には、同じポリシーをお願いしています。ネットワーク以外においても、注意点など遵守事項を伝えています。さらに、関連会社の従業員にもセキュリティに関する教育を実施しています。

 これまで、特に開発者のデータはローカルに持っている必要がありました。しかし、VDI(仮想デスクトップ)でもCADが快適に使えるようになってきています。これからはデータを渡すというよりはVDIの環境内で作業してもらうようになるでしょう。特に海外のデザイナーやエンジニアセンターに対して検討しています。

 VDIによってデータが散在せずに済むようになったので、セキュリティだけでなく運用の面でもメリットが大きくなっています。データを1カ所に集中して持つことで運用をシンプルにできるので、セキュリティにも有効です。システムを複雑にするほど、対処しなければならないことが増えてしまいますからね。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]