IDC Japanは12月2日、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)とビジネスコンサルティングから構成される国内ビジネスサービス市場の予測、ユーザー動向調査結果を発表した。2014年の同市場規模は前年比4.2%増の9425億円になり、4年連続のプラス成長になる見込みという。
ビジネスサービス事業者の業績動向や今回の調査結果も踏まえたユーザーの需要動向などから、2014年の国内ビジネスコンサルティング市場の支出額は前年比5.6%増の3046億円、人事、カスタマーケア、財務/経理、調達/購買で構成される国内BPOサービス市場は、前年比4.3%増の6379億円に拡大すると予測。国内ビジネスサービス市場は、2018年に1兆918億円に達する見込みで堅調な拡大が期待されるとしている。
IDCが従業員数300人以上の企業や団体を対象として9月に実施した調査(有効回答425件)の結果、過去3年間のビジネスコンサルティングの利用率は57.8%と、活用が一般化していることが分かった。
利用テーマは従業員規模による違いが大きく、主要顧客層である従業員5000人以上の大手企業では、「経営戦略/経営計画の策定」が1位、「海外進出/グローバル最適化」が2位となっており、3位にも「新規事業開発」が「コスト最適化」と同率で続くなど、ビジネス拡大を目的とする需要に支えられていることが分かる。
BPOサービスの利用にあたり期待する点は、従業員規模を問わず「コスト削減」が最多となった。今回の調査からは、BPOの利用開始時に業務プロセスの大幅な見直しを実施した企業ほど、BPOが全社的な競争力強化や業務効率化に貢献していると評価している割合が多い、という関係があることも明らかとなった。コスト削減を含むBPOの効果の最大化のためには既存業務プロセスの根本的な見直しが有効であると分析している。
BPOの全体事業に対する貢献レベルと業務プロセスの見直しの実施状況の関係(IDC提供)
同社ITサービス マーケットアナリストの植村卓弥氏は、以下のようにコメントしている。
「国内ビジネスコンサルティング市場では企業の売上成長やイノベーション創出に向け、グローバル化や第3のプラットフォームへの対応の支援が市場拡大要因として重要性を増している。一方、国内BPOサービス市場では、その原資を生み出すための変革型の需要が顕在化している。ただし、中長期的にはBPOサービスも売上成長やイノベーション創出に向けた活用が進んでいくとみられ、ベンダーはそのための準備を進めておく必要がある」