脆弱性のブランド化と名付け親の真意--Heartbleed、Shellshockが招いたもう1つの物議 - (page 3)

Violet Blue (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2014-12-05 06:30

 Codenomiconが脆弱性をブランド化したことで、その真意を取り巻く批判と疑念は、情報セキュリティのコミュニティーに怒りと混乱の渦を巻き起こした。

和訳:「Heartbleed脆弱性の関係者たちにはウェブサイト向けのかっこいいロゴを作る暇はあったようだが、主要OSの開発企業に通知する暇はなかったのか?」

和訳:
☑ heartbleed.comドメインの登録
☑ 独自グラフィックデザインの作成
☐ OS開発企業に対する情報の事前公開
☑ 一般大衆に対する情報の公開
これが優先順位

マーケティングによって攻撃は防止できるのか?

 「CVE-2014-0160」という発見時の識別名を持つHeartbleedは、一般の人々がその実体を理解できているとはいまだに言い難いものの、一夜にして市民権を獲得した。

 ほとんどの報道機関もHeartbleedの何たるかを理解していなかったが、そのロゴは世界中の主要ニュースサイトすべてで用いられ、ニュースはあっという間に広まっていった。

 Heartbleed脆弱性を修正しなければならない組織は、迅速な対応を採らなければならないため、この点はメリットであった。

 CodenomiconのCEOであるChartier氏は、「名前が付けられ、人々の記憶に残りやすい出来の良いロゴが用意されたという事実によって、この問題がより短期間で人々に認知されるようになったと考えている」とGuardianに語った

 これは真であるが、逆もまた真である。Heartbleedにおける感染性の高いブランドイメージ作りは、そういった手法の存在が攻撃者に知れ渡るペースも速めたのだ。その結果、数日もしないうちにHeartbleed脆弱性を突く攻撃が出現した

 Heartbleedの巧妙なブランド戦略は、今後長期間にわたる議論を引き起こす可能性もある。

 ノースイースタン大学とスタンフォード大学の研究者らは11月に発表した分析のなかで「分析対象となったウェブサイトのうちの約93%が、Heartbleedのパッチが発表されて3週間以内に正しくソフトウェアパッチを適用したものの、システムを完全にセキュアにするうえで必要となる他のセキュリティ対策をフォローアップとして実施したところは13%しかなかった」という事実を見出した。

 Heartbleedのブランド化は意図的なものであり、思惑通りに成功したのは間違いない。これは想像力と感性に訴えかけながらも、真剣味を感じさせる。

 米ZDNetはCodenomiconに対して、Heartbleedのブランド化、およびロゴの作成理由を尋ねた。

 Takanen氏は「この脆弱性はとても深刻なものだった。われわれのチームはそのメッセージを伝えるために名前と、距離感を感じさせないロゴが必要だと確信していた」と述べた。

 同氏によると、チームは脆弱性に関する一般大衆とのコミュニケーション方法を進化させる時が来ているとも感じていたという。そして以下のように続けた。

 その目的は同脆弱性のニュースを広め、人々が自らのシステムをできる限り早期に修正できるよう支援するというものであった。われわれがウェブサイトheartbleed.com上でHeartbleedについてのFAQを公開したのも同じ理由だ。

 同脆弱性の重要性と、脆弱性の報告方法に関する過去の経験に基づき、われわれはこの情報を民主的なやり方で皆のもとに届けるための新たなアプローチ、すなわち「脆弱性公開手段2.0」が必要だと感じたのだった。

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