3つめの重視するキーワードと重点施策については、今回の注目点として、重視するIT動向として今回初めて項目に加えた「全社ネットワーク環境の刷新・見直し」が3位、「ビジネスシステムのクラウドへの移行」が6位と、それぞれ上位につけたことを挙げた。背景には、ネットワーク仮想化とSDN、ビッグデータ、モバイル、BYODといったトレンドがあるという。
実際、新分野の取り組みとして例年聞いている「ビジネス系システムへのクラウドへの移行」「アジャイルソフトウェア開発の導入」「ソーシャルテクノロジのビジネス活用」「ビッグデータの分析・活用」については、実施率が着実に向上した。

主要なIT動向に対する重要度指数と実施率の変化(ITR提供)
4つめのIT部門の役割と影響力については、IT部門の役割を「従来型機能」「IT改革」「業務改革」「ビジネス戦略」という4つのカテゴリに分類し、それぞれの役割について「現在の役割」と「3~5年後に担うべき役割」を聞いた。その結果、IT部門は、システム運用やコスト管理といった従来型機能は、今後、役割が大きく縮小すると考えていることがわかった。
今後、拡大する役割としては、「ビジネスモデルの開発・改良」「ビジネスイノベーションの促進」などが挙がったが、拡大幅は大きくないという。IT部門以外の部門に対してIT部門の役割を聞いたところ、「従来型機能」だけでなく、「IT改革」でさえも、IT部門の今後の役割とはみなされていないという結果になった。
「従来型機能の提供に甘んじるIT部門は、今後急速に活躍の場を失うことが懸念される。一方で、将来のビジネスの足がかりになるような攻めの投資戦略を描けていないIT部門の悩みも見てとれた。今後何をしていけばいいのか、IT部門にいる人自身がわかっていない。これは、業績の良さや業種にかかわらず、全体に共通して見られた傾向だ。IT部門には自らの役割や立ち位置も含めた大胆な変革が求められる」(舘野氏)

IT部門の役割の現在と今後(ITR提供)
5つめの製品/サービスの投資動向については、「業務アプリケーション」「テクノロジ/サービス」「インフラ/ハードウェア」「OS/ミドルウェア」「セキュリティ分野」「サービス/クラウド」の各分野ごとに、何にどの程度投資するつもりかをまとめた。
マトリクスチャートと呼ばれる図に細かくプロットしているが、全体としては「タブレット」「スマートフォン」「データセキュリティ」「モバイルセキュリティ」「モバイルデバイス管理ツール」「SaaS」などの投資意欲が強かったという。
調査は、ITR顧客企業とITRのウェブパネルのうち、国内企業に所属するIT戦略の決定の関与者約3500人を対象に10月15~31日に実施。有効回答数は1095件(1社1人)。回答者のプロフィールとしては、業種は全業種にわたっており、従業員1000人以上の規模の企業が約44%を占めた。また、約65%の企業が自社のビジネスについて「非常に好調」「やや好調」と回答している。
レポートは12月下旬に公開予定で、税別価格は12万6000円だが、予約特別価格9万5200円となっている。