オープンソースは安全との常識が覆る
中でもOpenSSL(Secure Sockets Layer)の脆弱性に起因するHeartbleedと、UNIX系OSのShellの脆弱性であるShellshockは、「オープンソースは安全で攻撃されにくい」との常識を覆すものとなった。
「UNIX系OSの利用者が増えたことで、オープンソースを狙った攻撃も増加した。その結果、オープンソースはセキュリティが脆弱だった事実が明らかになり、担当者はその対応に追われている。Heartbleedが表面化した際には、世界中でパッチの適用が間に合わず、混乱した企業も少なくない」(Ahearne氏)
また、アジア太平洋地域では、DDoS攻撃が依然として増加傾向にあるという。Ahearne氏は、「サイバー攻撃の進化に、ユーザーのセキュリティ意識が追いついていない」と苦言を呈する。
最近では、さまざまなDDoS攻撃用のツールがブラックマーケット販売されおり、中には10ドル未満でDDoS攻撃自体を請け負う業者も存在する。
「10年前に欧米で猛威を振るったDDoS攻撃手法が、アジア地域ではまだ“現役”で活動している。攻撃者にしてみれば、(新しいマルウエアを開発することなく)簡単に攻撃できるので、その数が減ることはない。残念ながら2015年以降もこの傾向は続くだろう」(Ahearne氏)とのことだ。
2012年以降に発生した情報漏洩事件のインパクト。EbayやTargetなど大規模企業からも大量の個人情報が流出している。ちなみにTargetでは同流出事件を受け、CEOが辞任している
POSを狙った攻撃被害も相次いだ。2013末から発生した米国小売り大手であるTargetの大規模情報漏えい事件では、7000万件の個人情報と、4000万件のカード情報が漏えいしたと報道されている。
POSレジ端末に備わっている磁気読み取りのカードリーダーは、パソコンなどと比較して十分なセキュリティ対策が講じられていない。さらに1回の攻撃で成功した場合の“リターン(窃取できる金額)”が大きいため、今後も標的にされることは間違いないという。
Ahearne氏は、「こうした情報漏えいを防止するために米Appleは、NFCを用いた『バーチャルウォレット』をリリースした。これであれば、カード情報を窃取される可能性はない。しかし、バーチャルウォレットが普及すれば、これを狙った新たな攻撃手法が登場するだろう」と指摘している。