アビームコンサルティングと米OpenLink Fiancialは12月9日、電力会社やガス会社などのエネルギー事業者向けにエネルギーバリューチェーン全体の最適化、国際競争力強化を支援するコンサルティングサービス提供の推進に合意したと発表した。
今回の協業では、燃料や発電、系統の最適化を支えるための新たな組織をデザイン、業務プロセスを設計し、それらを支えるエネルギーバリューチェーン全体の最適化を図る経営情報基盤の設計、導入などの提供する。電力自由化で経営環境変化に対応する仕組みが求められるエネルギー事業者や現物商品取引の規模拡大による柔軟な市場取引、リスク管理が求められる総合商社を対象に提案し、日本の社会インフラサービスの向上に資する国際競争力強化を全面的に支援していくという。
企業が自社で保有する需要実績や燃料の調達、契約、発電、設備コストなどのデータや市況データなどの基礎情報の管理から、需要や電力価格の予測、取引別収益とリスクの管理、短中長期計画の策定や計画の補正支援などについて、エネルギーバリューチェーン全体を最適化を図るためのアプリケーション(Integrated Resource Management:IRM)を利用する。
OpenLinkのIRMで部門横断、本社や発電所などのロケーションに捉われずに可視化を推進できるという。マネジメントから現場までが市場の変化を的確につかみ、戦略的にIRMを業務に活かすことで経済性や安定性を追求した事業の推進を支援すると説明。最小単位として15分単位での運営、シミュレーションが可能としている。
エネルギーバリューチェーンに関わる情報を一元的に管理し、市場の変化を予測することで、適切かつ戦略的に事業運営が可能な体制の整備をワンストップで支援する。
IRMのほかにLNGや電力市場取引などのエネルギー・現物商品の市場取引管理システム、既存の発電・貯蔵・受払・系統運用の各設備管理システム、統合基幹業務システム(ERP)などをまとめて全体設計し、エネルギー事業者の戦略的な事業活動を支援し、ベンチマーキング指標などを活用しながら、国際競争力の強化を推進するとしている。
IRM導入後には、前年度度実績と比較して効果検証や取引リスクを低減するための見直しなどを定期的なコンサルティングし、施策の見直しや次なる一手につなげる新たな取り組みをハンズオン型で支援する。
OpenLinkは、金融、商社、エネルギー業界向けにポートフォリオ、リスク、物的資産管理を円滑に展開するためのソフトウェアを提供している。1992年にニューヨークで設立され、約1200人の従業員が18カ所のグローバル拠点から約580社以上に対しサービスを提供している。
アビームは現在、約30人の専任のコンサルタントを中心にエネルギー事業者向けコンサルティング経験者約1000人が総合エネルギー企業として取り組むべき事業戦略の策定から業務プロセスやシステムの構築までを幅広く支援する「ABeam Energy Summit Solution(ABeam ESS)」を提供している。エネルギー事業戦略を含むビジネスモデルデザイン、テクノロジ、ビジネスの3つの領域を総合的に支援している。