EMCジャパンは12月10日、8日に新社長に就任した大塚俊彦氏を紹介する記者発表会を開催した。クラウドなど外部環境の急速な変化に対応するため、営業部門をはじめとした大幅な組織改革を実践しており、日本を引っ張る新たなリーダーとして指名を受ける形になった。
大塚氏を選出したことについて、米EMCのシニアバイスプレジデントで、アジア太平洋/日本地域プレジデントのDavid Webster氏は自社を取り巻く外部環境が激変していることを挙げた。
新社長の大塚氏が入社3日目ということもあり、戦略などの具体的な説明の多くはWebster氏が担当した
具体的には、クラウドをはじめとした新技術の登場、「ソリューション」への要求の高まり、VMwareやPivotalといった関連企業との連携の必要性など。大きな方向性として、企業システムが、プライベートクラウドとパブリッククラウドを交えたハイブリッドクラウドに向かうとの認識を示した。プライベートとパブリックの両クラウドを双方向にデータが動くようなインフラ環境を想定している。
そこで、どんなスキル経験が必要なのかを考え、社長探しを始めた。ハードウェア、ソフトウェア、サービスをそれぞれ横断してビジネスを実践し、変革した経験を持っているかがポイントだった。「他社の社長を連れてくるという手法は取らなかった」としている。
結果的に、こうしたスキルを持っていることに加え、「(さまざまな場面で)この人(大塚氏)と話をした方がいいよ」という声を聞いたことが、1つの決定理由になったとWebster氏は話している。
新社長に就任した大塚俊彦氏
Webster氏に紹介されて登壇した大塚氏は「“変化し続ける”ことがIT企業としても最も大事なこと」と最初の一言を切り出した。EMCの印象について「変化し続ける企業と認識している。全世界の売り上げの12%を研究開発開発に、10%を企業買収に投資しており、イノベーションに対するたゆまぬ投資をしている」と述べた。
大塚氏は取り組みの柱として、顧客との関係向上、パートナーシップの強化、他国のEMC法人との連携を挙げる。また、従来あまりリーチできていなかった市場にもアプローチしたいとのこと。
EMCは10月28日にクラウド関連のCloudscaling、Maginatics、Spanningを買収。VCEを傘下に収めた。また、社内的には「新クラウドビジニスユニット」「ハイブリッドクラウドソリューション」「コアテクノロジービジネスユニット」「新規技術ビジネスユニット」、さらに「EMCグローバルセールストランスフォーメーション」などを立ち上げたという。
大塚氏は「目指すのは1つのEMC。VMwareやPivotalなどを含めたEMCグループの価値を顧客やパートナー企業にもっと分かりやすく説明する必要がある」と話した。
また、年明けに、具体的な事業戦略を説明する予定としている。
従来型システムの大部分を指す第1および第2のプラットフォームを重視しながら、今後需要増が見込まれるモバイル、クラウド、ビッグデータなどを含む第3のプラットフォームの分野に注力することを大塚氏は強調した。