ソニックガーデンは12月10日、同社が提供する新しいソフトウェア受託開発のビジネスモデル「納品のない受託開発」において、主要技術の1つとしてサイボウズが提供する「kintone」の採用を決定したと発表した。
納品のない受託開発とは、従来のシステム開発における諸問題の解決を図るビジネスモデルとして、ソニックガーデンが手掛ける事業。費用を月額定額とすることで金額の見積もりをなくし、同社が開発と運用を区別せずに継続する。必要な全ての工程を同社のエンジニアが顧客ごとに顧問のような形態で担当し、時間ではなく成果を基準にする。
同社では、これまでインターネットを活用した新規事業を手がけるスタートアップ組織のうち、特にエンジニアが不在の顧客を中心にサービスを提供してきた。新規事業においてはソフトウェアも常にバージョンアップしていく必要があることから、変化への対応が容易な「Ruby」と「Ruby on Rails」を使って開発していた。一方、機能で競争優位性を生む必要がない社内向けのシステム開発には、Ruby on Railsでの開発は費用対効果が悪いケースがあったという。
このような領域に対して、より早く、よりシンプルに、より適正な価格でサービスを提供するため、ゼロからフルスクラッチで作る必要がないkintoneの採用を決定した。
kintoneは、用途にあわせてウェブデータベース型の業務アプリを構築できるサービスで、プログラミングを必要しないためにアプリケーション構築が容易になるのが特徴。これまで主に取り扱っていた新規事業領域に加えて、企業内で社員が利用する業務改善のためのシステム開発も取り扱うことにした。
顧客からみたサービス内容としては、kintoneを用いたサービスも、これまでのRuby on Railsを用いたものと違いはないとしている。「納品のない受託開発」のプロセスでは、最初に顧客が同社のサイトから相談し、初回打ち合わせでサービス内容の説明と顧客ニーズについての議論を行い、必要と判断されれば開発を開始する。このとき、すでに存在するサービスでニーズを満たせると判断された場合は、その紹介にとどめることもある。
開発に着手する場合、初月は無料でサービスを提供し、お試し期間として同社のパフォーマンスを顧客に認知してもらう。次月からは本契約として、毎月一定額での開発と運用が続いていく。
なお、ソニックガーデンでは、自社のリソースだけでは間に合わない部分について、kintoneを扱える全国各地のエンジニアとパートナーシップを組んで、より多くの顧客に対応していきたいとしている。また、kintoneだけでは実現できない機能を支援するkintone連携サービスも社内で開発を進めており、来年の公開を予定しているとのこと。