Topcoderにとって、Lightningを使用した部品モジュールの開発コンテストを実施するのには意味がある。ひとつは、Lightningの部品をTopcoderで開発して、蓄積することでLightningでの開発を、それぞれの開発者が独自性を発揮しながらコンテストに参加できるという環境を作るという点だ。
現在、Salesforce.comでは、Lightningで今後どんな部品を供給するのかを明らかにしていない。Topcoderの開発コミュニティで開発された部品とぶつかるようなものも当然想定される。だが、アピリオでは、その点をあまり気にしていないという。
「まず多くの部品を集めることで、Topcoderが先進技術にいち早く対応できるコミュニティであるということを訴求する狙いもある。Lightningの部品開発者のヒーローを作り上げる狙いもある。Swiftに関しても同様にいち早く対応。わずか5週間でコミュニティの中に3500人のSwift開発者を育てることができた。それによって、コミュニティとしての価値を上げることができた」
アピリオ シニアコンサルタント 山家匠氏
TopcoderがLightningにいち早く対応している狙いはここにある。今回、アピリオが実施したモバイルアプリのデザインコンテンストもLightningを対象にしたものだ。「日本語化されたモジュールもすでに7つ用意されている」(アピリオ シニアコンサルタント 山家匠氏)という。Lightningに強いコミュニティという代名詞を獲得することが、Topcoderの直近のテーマのようだ。
オフラインでも展開へ
2015年はTopcoderへの日本人開発者の参加を促進したいともいう。
すでにグローバルでも高い評価を得ている日本人開発者も多いというが、「オンラインで参加を促すだけでなく、技術者が集まる場所に出ていって、魅力を伝えていきたい。具体的な場所や時期などは決めていないが、積極化させたい」という。
米サンフランシスコでSalesforce.comが開催したイベント「Dreamforce 2014」では、Topcoderのブースが用意され、3000人の開発者が新規に登録したという。12月4日に日本のセールスフォース・ドットコムが開催したイベント「Salesforce World Tour Tokyo」では、今回のコンテンストで開発したモバイルアプリを展示するとともに、Topcoderへの参加も呼びかけた。こうしたイベントを通じた募集活動を加速する考えだ。
クラウドソーシングは、欧米ではかなりの広がりがみられているが、日本ではまだまだこれからだ。Topcoderの日本での取り組みは、日本でのクラウドソーシングの認知度向上、メリット訴求という段階からスタートすることになる。