常陽銀行、モバイルへのプッシュ通知機能で二経路認証を可能に

山田竜司 (編集部)

2014-12-17 12:07

 常陽銀行は、インターネットバンキングの安全性を高めるために、モバイルデバイスへのプッシュ通知機能を利用した二経路認証を採用した。シマンテックが12月10日に発表した。

 これまで常陽銀行では、セキュリティ対策として一度限り有効なパスワードを発行する「ワンタイムパスワード認証」の仕組みを採用していた。ネットバンキング利用の都度、通常のパスワード入力に加え、パスワード生成ソフトから発行されるパスワードを所定の画面に入力、二要素認証するというものだ。

 ワンタイムパスワードの利用には、自宅PC用のネットバンキングIDを追加取得し、そのID用のソフトを自宅PCにインストールすることが必要であるなど、小規模事業を営む顧客にとって負担が大きいという意見があった。

 この数年で広がっているスマートフォンでのワンタイムパスワード発行についても、PC以外の媒体の操作が加わることで、ワンタイムパスワードの入力負担が増えるため、解決手段を探していた。

 今回、常陽銀行では、シマンテックのクライアント認証技術「Validation and ID Protection」(VIP)の新機能「モバイルプッシュ認証」を問題解決の手段として選定。理由として、セキュリティを確保しつつ、ワンタイムパスワードより簡易な操作でウェブサービスやネットバンキングを利用できる二経路認証が実現できることを挙げている。

 既存のログイン環境に、モバイルプッシュ認証を追加すると、オンラインアカウントにログインする際、認証のためにモバイルデバイスにプッシュ確認が送られる。スマートフォンなどで承認ボタンを押すことで、二経路認証を完了する。そのため、固有のPCに依存することなく、法人顧客は会社でも自宅からでも同様に二経路認証を実現できる。

 近年では不正送金マルウェアがウェブブラウザを乗っ取り、正しいセッションに便乗して不正な操作を紛れ込ませる「Man in the browser (MITB)」攻撃が急増している。ネットバンキングを利用するPCが、このMITB攻撃を受けると不正送金の被害を受ける危険性が増すため、二経路認証は常陽銀行の利用者に対しても有効だとしている。

 常陽銀行では2008年にVIPを採用し、セキュリティ基盤を構築済みであったため、モバイルプッシュ認証機能の追加が容易であったことも、導入理由になった。

 今後は、送金実行時の認証強化のためトランザクション認証の導入や、モバイルプッシュ認証機能に追加される予定の指紋認証なども検討する。


モバイルデバイスで承認ボタンを押すモバイルプッシュ認証により二要素認証が可能

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