IDC Japanは12月11日、2014年上半期(1~6月)の実績調査をもとに国内クライアント仮想化関連市場規模を分析し、その結果を発表した。2014年の法人向けクライアント市場での仮想化率は26.9%、2018年には48.4%まで上昇すると予測されている。
市場の成長要因として、クライアント仮想化ソフトウェアの技術の進歩、ネットワークインフラ基盤拡大、全業種への導入拡大と案件規模の大型化や追加導入の3点が挙げている。2015~2016年に計画されている大型SI投資に対してIT技術者の不足が懸念され、特にクライアント仮想化関連の技術者の不足が深刻な問題になるとみている。
今回の調査分析対象は、国内のシンクライアント市場、クライアント仮想化ソフトウェア市場、クライアント仮想化ソリューション市場の3つ。このうち国内クライアント仮想化ソリューション市場は、2014年は前年比19.7%増の4605億円となり、2018年には7781億円まで拡大し、2013~2018年の年平均成長率(CAGR)は15.1%を予測している。
国内クライアント仮想化サービス市場も、プライベートクラウドでのDaaS(Desktop as a Service)案件の増加とパブリッククラウドでのDaaSの出現に伴い、同期間のCAGRは58.4%で推移し、2018年には1174億円まで拡大すると予測。モバイル仮想化ソリューション市場も、同期間に56.2%のCAGRで推移し、2018年には232億円まで拡大すると予測している。
出荷ライセンス数ベースでみると、国内クライアント仮想化ソフトウェア市場の2014年上半期は前年同期比10.8%増の76万5000ライセンスとなり、2014年通年では前年比13.4%増の161万ライセンスと予測、そして2013~2018年のCAGRは8.6%で推移し、2018年には214万ライセンスまで拡大するとみている。クライアント仮想化ソフトウェア市場は、マイクロソフト、シトリックス、ヴイエムウェアの上位3社が牽引しているという。
(IDC提供)
同社PC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は以下のようにコメントしている。
「クライアント仮想化をワークスタイル変革のために活用する企業が増加している。DaaSやモバイル仮想化などを包含するモバイルワークスペースなどクライアント仮想化導入を底上げする要因は揃った。クラウドやモビリティを重視する“第3のプラットフォーム”で仮想化技術は多くの場面で重要な役割を担う。ITベンダーはここに市場価値を、ユーザー企業は利用価値を、それぞれ見出すことが求められるであろう」