クラウドインフラソフト市場、5年で4倍以上に--高まるOSSの存在感:IDC予測

山田竜司 (編集部)

2014-12-14 09:00

 IDC Japanは12月10日、2013年の国内のIaaS環境構築管理ソフトウェア(クラウドインフラソフト)市場の調査結果と2018年までの予測を発表した。2013年は100億4000万円、2014年は前年比39.9%増の140億円、2013~2018年の年平均成長率(CAGR)は34.0%、2018年には434億円に達すると予測している。

 クラウドインフラソフトは、IaaS環境を構築、管理するために必要なソフトであり、主に仮想化ソフトウェアとシステム管理ソフトウェアで構成される市場とIDCは定義している。

 2014年に前年比39.9%増の140億4900万円と成長するのは、ベンダーのパッケージソフトウェアを使ったプライベートクラウド環境の構築が市場の拡大につながっているためとした。2014年でプライベートクラウド向けの売上額が68%を占めるとみる。

 大手グループ企業やデータセンターサービス事業者では、主に仮想リソースプールの作成と配分、仮想マシンのプロビジョニングなどの運用プロセスの標準化や自動化のために、クラウドインフラソフトが導入されているとした。

 2013年のベンダー別シェアでは、VMwareが35%以上のシェアで1位、その後にIBM、富士通、Microsoft、Hewlett-Packard(HP)と続くが、2位以下のベンダーのシェアの差は小さいという。

 現在、オープンソースソフトウェア(OSS)の「OpenStack」は、複数のクラウドサービスプロバイダーで検証が進められており、既にNECはOpenStackを基盤としたIaaSを提供している。Red HatやHPなどからディストリビューションが提供されるなど、エコシステムが急速に形成されているという。

 同じくOSSの「CloudStack」は、NTTコミュニケーションズやIDCフロンティアなど、複数のクラウドサービスプロバイダーがIaaS基盤として既に採用している実績を持つ。最近では、コンテナ技術の「Docker」が話題となり、OSSでのクラウド基盤の新たな選択肢として浮上してきた。

 IDCのユーザー調査では、プライベートクラウドを構築している企業と構築を予定している企業の14.7%がOSSのクラウドインフラソフトを「積極的に使う」という方針をとり、「ベンダーからのサポートがあれば使う」が26.4%、「もっと技術が成熟してから使う」が16.9%という結果が出た。今後企業での導入が進んでいくとみられ、OSSの存在感が高まっていくと予測している。

 プライベートクラウド向けが伸びる一方、パブリッククラウドでは、IaaS上に構築されたシステムの監視や管理、ハイブリッドクラウド実現でクラウドインフラソフトが実装されていくとした。

 IDCは、クラウド環境はパブリックやプライベート、ホステッドなどますます多様化していく一方、多くのユーザー企業はこれらを統合的に運用、管理することを望んでいると指摘。ベンダーはパッケージソフトに加え、OpenStackなどOSSとそのエコシステムを活用し、複数のクラウドを連携させるハイブリッドクラウドを提供することがクラウドビジネスの売上拡大につながると提言している。

2013~2018年の国内クラウドインフラソフト市場の売上額予測
2013~2018年の国内クラウドインフラソフト市場の売上額予測(IDC Japan提供)

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