「とにかく、一気にやろう」という意識を変えないといけない。このようなペースメークは実行時に管理職が受け持つ。担当者はスキルアップへ向けて汗をかくが、管理職は担当者の成功体験を一義に考えて、都度状況をチェックし、行動改善の指南を実施すべきである。
管理職が状況をチェックするが、何が困難なのかの詳細な理解、効率性を考えての判断、作業の順序などは技術の仕組みを分かっていないと把握できない。これは「わからない」では済まされない。
管理職も勉強しなければならない。技術の詳細を身につけなくていい。付け焼き刃でいいのだ。理解するという姿勢が大事である。人には育てと言っておきながら、自身では何も勉強しないというのは不公平であり、ナンセンスである。
「よく知らない」「わからない」は逃げているだけである。エンジニアの管理職であれば、エンジニアの作業内容を理解するために、管理職も技術を理解するために、常に勉強すべきだ。
チャレンジする人と支える人の両方が必要
フルスタックエンジニアというスタイルのみに惚れてはいけない。実力がなければ、フルスタックとは言えない。いつの時代も楽なままで仕事が終わることはない。仕事は泥臭いものである。それを嫌がらずにやりきれば自ずと力はつく。確実につく。結果はついてくる。
知識は経験に勝てない。経験こそが一番の財産である。若手は自身の価値向上に向けて積極的にチャレンジし、経験を獲得すべきだ。
そして、管理職は人財の育成を常に考えて、若手のパフォーマンスが最大限になるように仕向けるべきだ。その結果は組織の戦力向上に必ずつながる。チャレンジする人と支える人の両方があって、フルスタックエンジニアは完成する。組織の未来を模索する中で、一度、フルスタックエンジニア育成の熟考を強くお勧めする。
- 横山芳成(よこやま・よしなり)
- ウルシステムズ 主席コンサルタント
- ウルシステムズにて、ITグランドデザイン、プログラムマネジメント、開発・運用プロセスデザイン、データ分析のデリバリを数年担当。直近では、さまざまな業種へのプリセールスや事業会社のシステム部門へ実践的なトレーニングを提供
- PMP、CISA