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小さな漁村、大きな野望--「世界のハイテク工場」中国・深センの過去と未来(前編) - (page 2)

Steve Ranger (TechRepublic) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2014-12-19 06:30

 そういった点で深センは中国の他のどの都市よりも、IT業界で増しつつある同国の役割を語る際に出てくる数多くの事象を体現している。その役割とは、欧米IT企業が熱烈な視線を投げかけている巨大市場としての役割、そして独自のハードウェアとソフトウェアを作り出せるという自信をつけてきた製造工場としての役割だ。

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 商業地区「華強北」には1kmにわたってIT関係の店が軒を連ねており、数多くの小さな店の軒先には、中国や欧米の有名な消費者向けITブランド製品が所狭しと並べられている。深センでは大小さまざまなIT企業が毎年、星の数ほどの製品を生み出し続けている。こうした企業が織りなす複雑なエコシステムを理解しようとする人々にとって、華強北は必見の地だ。


商業地域「華強北」のITモールには携帯電話関係の店が集中している。
提供:Steve Ranger/TechRepublic

 スピーカーから中国のポップミュージックが大音量で流れるなか、店員たちは午後の日差しを避けるために傘を高く掲げ、道行く買い物客の気を引こうと手招きしながらマイクに向かって叫んでいる(時たま歌ってもいる)。そして、深セン(今や中国で最も裕福な都市の1つだ)の人たちが最新の製品を品定めしている。その様子からすると、ほとんどの店は儲かっているようだ。

 しかし華強北はこれがすべてではない。明るい表通りから暗い通路を抜け、道沿いに建ち並ぶ多くのマーケットの1つに足を踏み入れると、まるで電子部品の殿堂に入ったかのように感じられる。

 これらのマーケットは4〜5階建てとなっており、考えられ得るあらゆる電子部品が各階で販売されている。スマートフォンのディスプレイやチップ、メモリ、バッテリ、ハードディスクが単品で、あるいは深センの工場から出荷された1000個単位で販売されている。上階にある店ほど、より洗練された製品が並んでいる。つまり1階は電子部品、上の階はドローンやスマートフォンが販売されているというわけだ。

 モールによっては明るく清潔なところもあれば、薄暗くかび臭いところもある。販売されている部品の多くは新品だが、中古機器からリサイクルされたものもある。また、コピー商品や再生品、欧米のマーケットでは目にしないような地元製造のハードウェアといったガジェットも積み上げられている。

 驚くほど家庭的な風景だ。しかも未来と家庭的風景が同居している。店内に座る物憂げな店員が筆者の通り過ぎる姿をちらりと見上げた後、メモリカードの在庫数を確認する作業に戻っていった。その傍らでは小さなこどもが、たった数年前には地球上のどこにも存在しなかった高性能なプロセッサの山に囲まれて宿題に取り組んでおり、赤ん坊は、ITの宝の山に囲まれていることなど頓着せずにすやすやと眠っている。

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