事業拡大に伴う情報処理量の増加やデータ量の急増に応じるには、機器や設備の増強が不可欠である。しかし、古くから運用している既存のデータセンターを中心に運用効率や電力使用効率など数々の課題が顕在化してきており、相次ぐ拡張や増強の要望に応じるのは困難になりつつある。
マネジメントが限界に近づきつつあるデータセンターの現状と、限界を突破するための解決策を展望する。
なぜ、無停電電源装置(UPS)のメーカーであるシュナイダー・エレクトリックが「データセンターマネジメント術」の話をするのか。そんな疑問を抱くもしれないので、本題に入る前に、その疑問にお答えしておきたい。
日本国内ではUPS製品の知名度が高く、あまりご存じないかもしれないが、シュナイダーはインフラマネジメントやエネルギーマネジメントなど、データセンター向けソリューションをグローバルで手広く展開している。
改善の道筋を検討する前段としてデータセンターの現状を把握するための診断プロジェクトだけでも、年間150件ほど手掛けている。そうした関係で、欧米のみならずインドや東南アジア諸国など、世界各国のデータセンター事業者やユーザー企業が抱えるデータセンター関連の悩みに触れる機会が多い。
この連載では、グローバルにプロジェクトを手掛ける中で、最近数年のうちに顕著になってきたデータセンターの大きな壁と、それを乗り越えるための現実解について情報を共有していきたい。
なお、以下ではサーバやストレージ、ネットワーク機器などのITインフラを設置して運用するスペースをひとくくりに「データセンター」と呼ぶ。特に断りがない場合は、その中に数台から数十台のラックからなるユーザー企業のサーバルームも含むものと考えていただきたい。