データセンターマネジメント新潮流

「マネジメントの限界」に迫りつつあるデータセンター - (page 3)

シュナイダー・エレクトリック

2015-01-05 07:30

企業内データセンターはなくならない

 このように、日々の運用から将来に向けた改善と拡張にいたるまで、データセンターのマネジメントはすでに限界に近づいている。大げさに感じる読者がいるかもしれないが、これが企業活動を縁の下で支えているデータセンターの今の姿なのである。

 データセンターが抱える課題を解決し、日々の運用の負担を軽くする打開策の一つとして、最近は事業者が提供するクラウドサービスを採用するケースが増えつつある。しかし、既存のデータセンターがすべてクラウドに移行する日がくるとは考えにくい。

 IDCジャパンの調べによると、2013年末時点で国内には8万サイトを超える企業内データセンターが存在する。サイト数は次第に減っていくものの、2018年の段階で7万サイト以上が残る見込みだ。

 そもそもクラウドサービスの用途には、かなり偏りがある。総務省が「平成26年版情報通信白書」に記したクラウドサービスの利用内訳をみると、クラウドは電子メールやファイル保管といった用途での利用が多く、財務会計や生産管理、物流管理といった基幹業務は10%未満。この傾向はしばらく続くと見るのが普通だろう。

 当面の間、クラウドサービスによってデータセンターの課題の全面解決が見込めない。そうである以上、IT部門が今進むべき道は、データセンターの課題と真正面から向き合い、マネジメントのレベルを少しずつでも高めていくことではないだろうか。

ライフサイクルを通じて成長させる

 データセンターマネジメントのレベルを上げるといっても、それほど難しい発想を持ち込む必要はない。企業の置かれたステージや事業の将来展望に合わせて次第に成長していくデータセンターは、ある意味で“生き物”である。そうとらえると、データセンターに責任を持つIT部門が目指すべきマネジメントの本質が浮かび上がってくる。

 結論から言うと、その本質とは「Plan(計画)」「Design(設計)」「Build(建築)」「Operate(運用)」「Assess(解析)」という一連のライフサイクルをマネジメントすることである。


(図:データセンターのライフサイクルマネジメントのイメージ)

 中長期の計画を立て、想定される事業内容や規模に適したデータセンターを設計して構築する。そしてデータセンターの機能を提供するために日々の安全に運用しつつ、稼働状況の解析結果などに基づいて、次なる改善の計画を立てる。こうして、変化するニーズと設計のかい離などを解消し、継続的にデータセンターの機能を適切に高めていく。

 ご自身の社会人生活になぞらえると、分かりやすいかもしれない。中長期のライフプランを立て、ライフスタイルの青写真を描きながら、ライフステージに見合った住まいを借りるか建てる、あるいは購入する。

 そして日々の生活の中で住まいと家財の機能を最大限に活用しつつ、家計の負担を確認したり住まいの利便性を高める方法を検討したりしながら、必要に応じて計画的に住まいのメンテナンスや家財の入れ替えおよび追加をしていく。

 このように、先を見据えると共に現状を把握しながら、常に事業に見合う形で適切にデータセンターを成長させていく。これがデータセンターのライフサイクルマネジメントである。

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