本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、EMCジャパンの大塚俊彦 代表取締役社長と、日本マイクロソフトの織田浩義 執行役常務の発言を紹介する。
「EMCならではの価値をもっと分かりやすく伝えていきたい」 (EMCジャパン 大塚俊彦 代表取締役社長)
EMCジャパンの大塚俊彦 代表取締役社長
EMCジャパンが先ごろ、12月8日付けで大塚氏が新社長に就任したのに伴い、記者会見を開いた。同氏の冒頭の発言は、質疑応答でEMCジャパンの課題について問われた際に答えたものである。
大塚氏はまず、「IT業界にこれまで30年間携わってきて最も大切だと感じているのは、常に変化し続けること。そうでないと、顧客に満足していただける高い価値は提供できないと肝に銘じている」と自身のビジネスにおける信念を語った。
会見には、米EMCのシニアバイスプレジデントでアジア太平洋/日本地域プレジデントを務めるDavid Webster氏と大塚氏が登壇。Webster氏が今回の人事の背景や理由について説明し、大塚氏が新社長就任にあたっての所信表明を行った。その内容および大塚氏のプロフィールについては関連記事を参照いただくとして、ここでは会見で話題に上ったEMCジャパンの課題についての大塚氏の発言に注目したい。
「まずは、顧客、パートナー、そして社員とのコミュニケーションをしっかりと図り、現状を正しく把握したうえで、次のステージに向けたプランを建てていきたい」
大塚氏はこう前置きしたうえで、「EMCのソリューション領域が非常に幅広いこともあり、顧客やパートナーから見て個々のニーズに最適なソリューションが分かりづらいところがあるかもしれない。ソリューションの内容もさることながら、その特徴や競合と比べての優位性、さらにはEMCならではの価値をもっと分かりやすく伝えていきたい」と、日本市場でのEMCのプレゼンス向上に一層努めていくことが課題であり、チャレンジだと語った。
こうしたビジネス面とともに、大塚氏にはマネジメント面でもEMCジャパンの現状の課題解消が求められているようだ。業界関係者によると、「米国本社が日本法人の営業費用など、コストがかさむ傾向にある構造を見直そうとしており、大塚氏は社長としてそれを推進する役目も担っているようだ」とか。
ビジネス面では陣頭指揮に立ってどんどん前進していくリーダーとしての役割が求められる一方で、マネジメント面では企業体質の変革をしっかりと進めていく厳しさが必要となりそうだ。