会見での大塚氏の表情からは、そうした両面を覚悟したうえでの晴れやかさと緊張感が伝わってきた。先ほどのプレゼンスの話でさらに言えば、EMCはIT業界では名が通っているものの、一般的な知名度は今ひとつだ。BtoB事業だから仕方ないとの見方もあろうが、それではこれからのIT市場で大きく飛躍できない気がする。大塚氏にはぜひEMCの知名度を一般にも広く浸透させていくくらいの気概を持って臨んでいただきたい。
「公共機関の顧客にとって、ナンバーワンのクラウドパートナーを目指したい」 (日本マイクロソフト 織田浩義 執行役常務)
日本マイクロソフトの織田浩義 執行役常務
日本マイクロソフトが先ごろ、公共機関向けのクラウド事業に関する記者説明会を開いた。同社の執行役常務で公共分野向け事業を担当する織田氏の冒頭の発言は、この分野でのクラウド事業拡大に向けた決意を表したものである。
織田氏はまず、日本の公共機関でのクラウド利用の現状について、「これまではデータの扱いに関する制約やセキュリティ対応の観点からオンプレミス指向が強かったが、ここにきてその傾向が大きく変わってきている」との感触を語った。とくに、政府による「世界最先端IT国家創造宣言」の実行や「地方創生」の実現に向けて、クラウド利用が大いに注目されるようになってきたという。
そのうえで同氏は、公共機関がこれまでクラウドの導入を躊躇してきた課題と、それに対するマイクロソフトからの提案ということで、次の5つのポイントを挙げた。
まず1つ目の課題である「データロケーションと法令準拠」については「日本データセンターの増強とサービス提供」を提案。
2つ目の「セキュリティ対策」については「主要なガイドラインに準拠した信頼できるクラウドの追求」、3つ目の「機密データの保護」については「公共特有のさまざまな要件に対応できるクラウドサービスの提供」、4つ目の「公共機関専用の閉域ネットワーク対応」については「閉域ネットワークとの接続拡大」、5つ目の「公共特有業務アプリケーションの対応」については「パートナーソリューションのクラウド化支援」を提案していく構えだ。
そのために同社では、公共機関向けクラウド推進体制として、約200人の専任営業、サービス組織を設置。法務や政策企画、技術統括、企業市民活動などの社内関連部門との連携、および米国本社との連携、さらには100社以上の国内ソリューションパートナーとのクラウド連携を進めているという。
織田氏によると、こうした取り組みによって、公共機関向けのクラウド事業の売上高を、2015年6月期に前期比4倍に引き上げたいとし、冒頭の発言によって事業拡大への強い決意を示した。ちなみに、日本マイクロソフトとしてのクラウド事業の目標は前期比2.5倍。これを大きく上回る目標に向け、同氏は自信を持って挑む構えだ。