それに対し、Starboard Value側ではYahoo!を二分割――Alibabaとヤフーの株式を保有する資産管理会社と、現業を引き継ぐ事業会社に分け、さらにはこの事業会社をAOLのような他社と合併させることで「株主価値の最大化」が実現できる、といった考えだという。
- Starboard's real plan: A Yahoo Inc. without Yahoo--CNBC
- How Yahoo may finally be sold: Why March 2015 is key--CNBC
これに関連する対策をうまく講じられるか否かで、Yahoo!株主にとっては最大200億ドルもの違い(キャピタルゲインに対する課税の有無)が生じる可能性があるというから、AlibabaのNYSE上場から間もない9月下旬に出ていた「Yahoo!/AOLの合併提言」(下記の記事)というのは、実はたんなるオマケに過ぎないこともわかる。
ただ、1万人規模のリストラ策実施などを通じて、あわせて10億ドルものコスト削減も見込めるなどとあるので、あまりパッとしない企業同士の組み合わせといっても、それはそれで規模の大きな話は違いない。ただメインディッシュであるAlibaba保有株の取り扱いに比べれば、あくまで添え物(規模が1桁小さい話)という感じは否めない。
- 物言う株主スターボード、米ヤフーにAOLとの合併を提言--ロイター
- スターボード、米ヤフーにAOLとの統合を強く要請--WSJ日本版
また上記のCNBC記事(後の方)には、2015年2月上旬あたりまでにヤフー持ち株の処分をめぐる具体策がMayerら経営陣側から出てこないようだと、「不満を抱いた株主が複数の社外取締役候補を立てる可能性もある。この候補擁立の期限が3月27日となっている」という一節もある。原文は次の通り。3月27日というのは、Yahoo!が毎年6月に開く年次株主総会を見据えて、ということだろう。
But the pressure to then move on Yahoo Japan could come fast. Some shareholders say there is a potential for frustrated investors to nominate a slate of directors if a plan for Yahoo Japan doesn't materialize. The deadline for those nominations: March 27, 2015—just over three months from now.
この3月下旬のタイミングでStarboard Value側が動いた場合、その後はいよいよ本格的な委任状争奪戦が勃発、となるかもしれない。
Daniel Loebの引きでYahoo!のCEOになったMayerが、同じ物言う投資家のJeff Smithに自らの座を脅かされつつある、というのは何とも皮肉なことにも感じられるが、まずは早くも正念場を迎えた感のある有名経営者が今後どういう出方をしてくるかに注目したい。
[Inside the New Book About Yahoo CEO Marissa Mayer]
(敬称略)
- 【参照情報】
- What Happened When Marissa Mayer Tried to Be Steve Jobs
- Starboard Value's Jeff Smith: The investor CEOs fear most
- Yahoo's Marissa Mayer: Hail to the Chief
- Yahoo's Marissa Mayer 'oversleeps and misses posh dinner with top execs' at Cannes Lions
- A Yahoo Search Calls Up a Chief From Google
- Exclusive: Ross Levinsohn Departs Yahoo
- Yahoo to Acquire Video Ad-Tech Firm BrightRoll for $640 Million
- Softbank Told to Cast an Eye Over Yahoo