モンテディオ山形の運営母体である公益社団法人山形県スポーツ21世紀協会は、アビームコンサルティングと共同で、トップチームに関わる運営を進めるための新会社「株式会社モンテディオ山形」を設立。財務基盤の強化とともに、新たなスポンサーの獲得、ファンのためのサービス強化をはじめ、さまざまな事に取り組んでいる。アビームが12月24日、これまでの経緯や背景とともに、それらの取り組みを紹介した。
モンテディオ山形は、トップチームに関わる運営を進めるための会社として設立された。山形県スポーツ21世紀協会は公益社団法人であり、公共性重視の色合いが強く、地方公共団体からの大きな支援を受けて運営を実施できる一方、公共性を有しない収益事業などを手掛けることはできず、組織体制の上でも事業規模の拡大が困難という課題があった。
そこで同協会は、運営母体の株式会社化を視野に入れた事業パートナーを公募し、2013年6月13日にアビームコンサルティングを選定した。
一方のアビームは、「地域活性化・地方創生」を支援するという目標のもと、さまざまな地域の課題の解決を支援しており、特に山形では、これまでも県全体の医療情報連携の推進や、ICTを利活用した観光促進、高齢者支援などへのコンサルティングサービスの提供を通じ、地域の活性化を支援してきた経緯がある。
試合の勝敗が経営に大きく影響をもたらすスポーツビジネスにおいて、コンサルティングファームが経営そのものに関わるケースは世界的に見てもまれという。欧州のコンサルティングファームであるローランド・ベルガーが、日本代表の香川真司選手も在籍するボルシア・ドルトムントの経営再建に携わったケースが唯一とのことだ。
アビームは協会と共同で2013年8月に新会社を設立した。新会社に対しては、クラブチームと本拠地の一体運営を実現し、ハードとソフトの両面からのアプローチを通じ、ビジネスチャンスを逃さず、事業拡大を図ることを目的として49%出資。ホームスタジアムがある山形県天童市にアビームのコンサルタントが常駐し、「経営企画室」の役割を担っている。
具体的には、株式会社の登記、設立からスタートし、管理会計の導入、山形県総合運動公園をはじめとした複数の指定管理事業受託に向けた対応、企業合併や新規事業の立ち上げなどを支援してきた。
2014年12月7日(日) J1昇格プレーオフ(味の素スタジアム)(アビーム提供)
新会社では、新規事業の1つとして、県内だけでなく県外のサポーターから広く支援を集めチーム強化に貢献すべく、「農業王国」として知られる山形県の産物を御礼品として贈呈する寄付金企画「モンテディオ山形“んまいもの”プロジェクトを開始した。
この企画は、ガイナーレ鳥取の「野人と漁師のツートッププロジェクト」に賛同したものであり、モンテディオ山形でも、ユニフォームスポンサーになっている県産ブランド米「つや姫」をはじめとして、肉、野菜、果物など全国に浸透する山形県のおいしい産物を通じ、自らのクラブをより魅力的に、さらには山形から地域、Jリーグ全体の活性化に貢献できることを目指し始めたプロジェクトという。
モンテディオ山形”んまいもの“プロジェクト(アビーム提供)