インターネットイニシアティブ(IIJ)は12月25日、マルウェア感染によるネットバンキングの不正送金被害を未然に防ぐ「IIJ不正送金対策ソリューション」の提供を開始したと発表した。
ネットバンキングにアクセスするための仮想アプリケーション環境が提供される。仮想アプリケーション環境からユーザーのPCへはブラウザの画面情報のみが転送、表示され、ユーザーPCを介した通信情報の窃取や画面の改ざんを防御できるという。
仮にユーザーPCがバンキングマルウェアに感染していたとしても、マルウェアは通信経路に介入できず、ユーザーは安全にバンキングシステムを利用できる。従来のウイルス対策ソフトでは検知が難しい、ユーザーがログインした後にブラウザを乗っ取る“Man in the Browser(MITB)”攻撃への根本的な防御対策として有効と説明している。
不正送金対策ソリューションのイメージ図(IIJ提供)
金融機関では、導入にあたって既存のバンキングシステムを改修する必要はなく、ワンタイムパスワードやリスクベース認証など導入済みのセキュリティ対策と連携した活用でセキュリティ対策をより強固にできるという。バンキングシステムへのアクセスを今回のソリューション経由に限定することで、多数あるブラウザやそれらのバージョンへの対応といった開発負荷を軽減できるとしている。
利用者は、専用アプリケーションやブラウザプラグインなどのインストールは不要なため、導入による負担はなく、従来と同様のユーザビリティを維持できるという。
IIJでは、今回のソリューションについて、金融機関のみならずネット上でビジネスを展開するさまざま企業にとって、ユーザーが安心してサービスを利用するために最適なものだとしている。すでに国内のメガバンクで採用され、個人向けサービスに利用されており、今後はスマートデバイスや法人向けサービスについても順次対応する予定としている。