年末年始に起こった注目に値するセキュリティニュースをまとめてみたい。
Internet Systems Consortium(ISC)のウェブサイトがメンテナンスを理由に年末から停止していると、Steven J. Vaughan-Nichols氏が報じている。気になるのは、「マルウェアに感染した可能性がある(We believe the web site may have become infected with malware.)」とメンテナンスの理由を説明している点だ。インターネットセキュリティ企業のCyphortは、米国時間12月22日にISCにマルウェア感染の可能性を伝えたことを報告している。同社によると、ISCのメインサイトは「WordPress」の古いバージョンを利用しており、サイトを訪問したユーザーは「Angler Exploit Kit」に感染したサイトにリダイレクトされるとのことだ。
米国はスイスのジュネーブで開催された新サービス貿易協定(TiSA:Trade in Services Agreement)の協議で、オンラインセキュリティの侵害に関する調査対象から米国企業を除外することについて交渉の用意があるとした。米国側の条件が受け入れられれば、欧州連合(EU)諸国でビジネスを展開している米国企業には現地国の監督機関や法執行機関の手が及ばなくなる。その結果、欧州の政府が米国企業に対して違反や過失の責任を追求しようとした場合、米国の裁判所に訴えなければならなくなる。そして、EUのデータ保護法は骨抜きにされる可能性がある。
Lizard Squadの逮捕:ソニーおよびMicrosoftに対するクリスマスの攻撃について犯行声明を出したハッカーグループに関係するとされる22歳の男性が英国で現地時間2014年12月29日、PayPal絡みの盗難事件を捜査していた現地警察によって逮捕された。Vincent Omariという名前のこの男性は、クリスマスにソニーとMicrosoftのそれぞれのオンラインゲームサービスである「PlayStation Network」と「Xbox Live」を攻撃したという犯行声明を出したハッカーグループLizard Squadと関わりがあるとされている。ロンドン南西部在住のOmari氏は、虚偽表示、そしてComputer Misuse Act(コンピュータの不正使用に関する法律)違反の疑いで29日に逮捕され、正式な告訴がされていない状態で現在は保釈されている。
Googleの研究者であるforshaw氏が、Windowsに発見していた特権昇格のバグを、脆弱性の概念実証(POC)プログラムとともに公表した。同氏によると、POCプログラムは最新の状態に更新されたWindows 8.1でのみテストしており、Windows 7を含む以前のバージョンのWindowsが脆弱性の影響を受けるかどうかは未確認だという。
SS7に関する衝撃的なニュースが出てきたことで、モバイル機器のプライバシーやセキュリティへの過信が打ち砕かれた。2014年12月28日の週に行われたSS7の土台を揺るがす3つの調査結果の発表とライブデモンストレーションにより、米国家安全保障局(NSA)や他の政府機関の権限やアクセス能力を用いずとも、他人の居所をその携帯電話から完全に追跡できるということが示された。こうした研究についての詳細は、ドイツのハンブルグで開催されたハッカーカンファレンス、第31回Chaos Communication Congress(31c3)にて発表された。
巧妙に作成された「Microsoft Word」ドキュメントによるFacebookへのハッキング:Facebookの「Careers Page」(採用情報ページ)に存在する脆弱性が発見され、履歴書を取り扱うサードパーティーのサービスにパッチが適用された。今回の発見は、同脆弱性の詳細と利用方法を自らのウェブサイト上で明らかにしたエジプトの研究者Mohamed Ramadan氏に対してFacebookから6000ドル以上の報奨金が支払われるほど価値の高いものだった。Ramadan氏によると、この脆弱性はXMLの外部実体参照(XXE)を利用した「Blind XXE Out of Band」バグと呼ばれるものだという。このバグを利用することで同氏は、サードパーティーのサービスによる検査が及ばない追加コードを.docx形式のファイルに組み込み、そのファイルをFacebookのCareers Pageにアップロードできたという。