企業のモバイル利用が変わる--2015年のCRM、BYOD、生産性ツール

Will Kelly (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2015-01-07 06:00

 2014年は、エンタープライズ分野のモバイル利用とBYOD(Bring Your Own Device、私物端末の業務利用)が進んだ年だった。エンタープライズ市場はモバイルファーストの世界になりつつあり、顧客の企業との関わり方、従業員のコミュニケーションや共同作業の進め方も変化している。さらに、PCはもはや生産プラットフォームの主軸ではなくなってきている。

 この記事では、2015年に注目すべき、この分野のトレンドをいくつか紹介しよう。

モバイルCRMのリーダーシップは新興企業に

 顧客関係管理(CRM)を手がけるSelligyのアプリは、新興企業によるモバイルCRMが従来のCRM市場を揺るがすことができると証明したと言っていいだろう。SalesforceやそのほかのCRMベンダーも、モバイルに関して独自の取り組みを進めているのは知っているが、筆者は2015年にモバイルCRM市場を大きく動かすのは、大手CRMベンダーではなく新興企業だと考えている。

 「八方美人」的なアプローチが複数のCRMベンダーを苦しめる結果になっているのに対し、より焦点を絞った取り組みをしている新興企業は、モバイルCRMアプリの提供では有利だ。

モバイルで働く従業員を管理する分析ツールが台頭

 もう1つのトレンドは、クラウドを利用した共同作業やセールスプラットフォームの裏側で、企業が分析ツールを動かし、モバイルで働く従業員たちがアクセスしているコンテンツに関する実用的な知恵を得ようとすることだ。Colligoは最近リリースした「Colligo Engage」プラットフォームに分析ツールを組み込んでいるし、Huddleも次のリリースに分析ツールを追加すると約束している。

 VoIPやCRM、その他のバックエンドプラットフォームの利用状況に関する分析ツールが改善されれば、このトレンドに拍車がかかるはずだ。ただし、このトレンドが継続するかどうかは、モバイルで働く従業員の生産性を改善するために、どれだけ多くの企業が分析ツールで得られたデータを元にアクションを起こすかによるだろう。

iOS、Android向け「Microsoft Office」がモバイル向けの標準生産性ツールに

 以前は、モバイル用のOfficeスイートやワープロアプリ市場は、よく言っても「分裂状態」だった。しかし、2014年のiOS版Microsoft Officeのリリースが状況を大きく変えた。筆者はMicrosoftが段階的な開発戦略を採ると予想し、今後のiPadのリリースによってMicrosoft Officeの機能が2015年以降大きく高まると考えている。

 十分な機能を持つワープロアプリやOfficeスイートアプリはほかにもたくさんあるが、ビジネスの世界ではまだMicrosoft Officeの文書ファイルが大勢を占めている(OpenDocumentフォーマットのファンには残念だが)。モバイルデバイスでOffice文書を開き、フォーマットを崩さずに済むというのは、2015年にモバイルファースト、BYOD、CYOD(Choose Your Own Device、業務使用デバイスを選択できる)の取り組みが盛んになるにつれて、ますます重要になるはずだ。

 MicrosoftはiOS版のMicrosoft Officeをフリーミアムとして提供しており、Android版のリリースは2015年のトレンドを決定付けるものになるだろう。

BYODとCYODの区別が明確に

 2015年のトレンドとしては、BYODよりもCYOD方式や、COPE(Corporate Owned Personallly Enabled、会社所有のデバイスを個人利用することもできる)方式などがより一般的になると思われる。実は2012年から2014年にかけて、実際にBYODを導入した一部の企業が、コストにメリットが見合わないとして撤退している。これは、カリフォルニア州の訴訟で雇用者にBYOD利用料弁済を求める判決が出たことや、その他の社内的な理由が原因だ。SpiderCloud WirelessのArt King氏は、インタビューの中で、企業がCYODやBYODに関わる判断をするときに知っておくべき、金銭的な数字をいくつか挙げている。

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