岐阜県教育委員会は、県内の全公立学校に提供する共通仮想基盤と4K画質の遠隔研修システムを構築、2014年12月から稼働させている。ネットワンシステムズが1月6日に発表した。
岐阜県教育委員会では、「県内全ての公立学校がネットワーク上で人材と教材を共有しよう」というコンセプトで教職員、児童・生徒が教育情報を活用する「学校間総合ネットデータセンター」を2002年から運用している。
県立の高校や特別支援学校の教職員約5000人が利用するグループウェア、市町村立の小中学校や県立学校の教職員約2万人が利用するウェブメールなどのシステム群は約40の個別の物理サーバで稼働しており、ファイルサーバや教職員のID管理も各学校で個別に運用していたことから、運用経費の削減と災害対策の強化が課題となっていた。
移動時間とコスト削減のために、教員研修会場の岐阜県総合教育センターと県立学校を結ぶ映像会議システムでの遠隔研修を実施しているが、研修効果をより一層高めるためにビデオ会議システムの画質・音質向上を課題となっていた。
共通仮想基盤のイメージ
教職員の統合ID管理・システム連携
遠隔研修システムのイメージ(図3点はネットワン提供)
共通仮想基盤には、VMwareやCisco、EMCの製品を組み合わせた事前検証済みの仮想基盤パッケージ「VSPEX」を採用した。各社の管理ソフトウェアを連携させることで仮想基盤全体を一元管理し、運用管理負荷を低減したという。
障害発生時には物理環境と仮想環境の連携で迅速にサービスが自動復旧するとともに、サーバメンテナンス時も停止することなくサービスが継続する仕組みを整えている。遠隔地へのバックアップでは、重複データを排除することで効率化したとしている。
統合ID管理では、教職員の人事異動情報から既存情報との差分を自動抽出してID管理基盤に反映する仕組みを整備した。このIDをグループウェアやウェブメール、Active Directoryなどと自動的に連携させることで管理者の負荷軽減と利用者の利便性向上を実現している。
遠隔研修システムは「Cisco TelePresence」を採用した。講師や受講者の映像と講義資料を2つの画面に分けて出力し、対面研修に近い臨場感で双方向かつタイムラグのないコミュニケーションを実現したと説明。コンパクトに収納できる映像会議端末を選択したことで、研修内容や対象教員に応じて会場を柔軟に変更可能にしている。