企業のIT環境は2015年にどのように変化していくのか。主要IT企業の動きは1つの鍵を握る。前回に引き続き各社が発表した年頭所感を集めた。
日本アイ・ビー・エム 代表取締役社長 ポール与那嶺氏
日本IBM 代表取締役社長執行役員 ポール与那嶺氏
日本IBMはこれまで、新たなITの潮流として成長戦略の中核を担う、クラウドやアナリティクス、モバイル、ソーシャル、セキュリティ、そしてスマータープラネットへの取り組みを積極的にご紹介し、顧客のビジネス成長を支援してきました。2015年、企業経営において、ビッグデータなど情報の活用に関する重要性はさらに増していくでしょう。
日本IBMはこうした環境の中、世界中のIBMとの密接な連携により、グローバルでのベストプラクティスを取り入れます。また、変革を継続し、最先端のテクノロジや製品、サービス、世界中で培ったスキルや知見を通じ、ビジネスパートナーとの連携を強化するとともに、引き続き顧客にとっての価値を創り、高め、成長への未来を共創してまいります。
日立製作所 代表執行役社長兼COO 東原敏昭氏
日立製作所 代表執行役社長兼COO 東原敏昭氏
(編集部注:日立製作所は社内向けメッセージです)2015年は、日立製作所がさらなる飛躍へ向けた新たな一歩を踏み出すべき年です。仕事始めにあたり、日本も含めたグローバル市場で成長するために取り組むべき3点を挙げます。
1つ目は「グローバル企業への変革」です。1年前、私は社長交代記者会見の席上で、「日立が変えなくてはならないことは“スピード感”であり、東京だけで意思決定をしていてもグローバルな競争に勝つことはできない」と申し上げました。
そこで、顧客の近くでスピード感をもって事業を進めるため、例えば鉄道システム事業においては、2014年4月、グローバル本社機能をロンドンに移し、グローバル最高経営責任者(CEO)が全体の事業を統括する体制に改めました。
また、インフラシステム事業ではシンガポールに東南アジア統括拠点の機能を拡充しました。2015年は、各事業、各地域のコントロールタワーが現場の判断に基づき、迅速にアクションを起こす「自律分散型グローバル経営」を強力に推進していきます。同時に、2014年は、プロダクトアウトからマーケットインを志向した改革もいくつか実施しました。この施策は、日立の形を変える、グローバルに勝つことのできる形に変える取り組みであり、2015年はさらに加速します。
2つ目は「コミットメント」です。2015年は、「2015中期経営計画」の最終年度を迎える大事な年でもあります。「2015中期経営計画」の達成は、株主や顧客などすべてのステークホルダーとの約束です。皆さん一人一人が、それぞれの持ち場で、「自らのミッションを必ずやり遂げる」という強い信念を持って、業務に当たってほしいと思います。
3つ目は「成長志向のマインドセット」です。個人が集まった「Hitachi」というチームが、企業市民として地域の発展に貢献し、社会やそこに暮らす人々の生活を支えていること、Quality of Lifeの向上に役立っていることを今一度思い出してください。顧客の成長と自らの成長をともに分かち合う、成長志向のマインドセットで、全力で取り組んでいきましょう。
富士通 代表取締役社長 山本 正已氏
富士通 代表取締役社長 山本 正已氏
(編集部注:富士通は社内向けメッセージです)ICTが、ビジネスや社会の隅々にまでいきわたることで、さまざまなビジネスチャンスや可能性が生まれています。
一方で、企業や自治体のICT投資に対する考え方にも変化が起きています。ICTは以前にも増して社会や企業経営においてなくてはならないものになっていますが、バックオフィス分野や運用にかかるコストを極力減らし、その分、新しいサービスや革新的テーマの投資に振り向けたいという傾向が顕著になっています。また、投資の判断をするのは、ICTの専門家から、ビジネスの第一線で活躍する人にシフトしており、技術的優位性や信頼性よりも、投資対効果やスピードといった、目に見える価値が重視される傾向にあります。
富士通は、長い間、高い技術力を信頼され、顧客から多くの重要なシステムを任されてきました。そして、今も、多くのビジネスが期待できる状況にあります。しかしながら、今起きている変化は、これまで築いてきた富士通の強みが、単純には通用しなくなる時代が来ることを示唆しています。だからこそわれわれは今、イノベーションに舵を切らなくてはなりません。
2014年5月に、富士通は、中期計画と成長戦略を発表しました。その柱として、イノベーションを掲げたのには、こうした背景があります。2015年は、ビジネスイノベーション、ソーシャルイノベーションをより強力に推進していきます。そして、これをグローバルに実行していきます。