Googleはベンチャーキャピタルにおいて、スマホ向けのタクシー予約サービスを提供するUberに2億5800万ドルを出資しているように、将来的に自動運転車を商用化した際には、自動運転車のタクシーでオンデマンドに乗客を目的地に案内するサービスの提供も想定される。
電気自動車(EV)メーカーの Tesla Motorsは2014年10月、自動運転機能を搭載した「モデルS」を発表した。「モデルS」には、前方を認識するカメラや周囲を検知する超音波センサ12個などが搭載されており、道路標識の画像認識やレーン変更などの運転支援機能が利用できる。テスラでは、自動車に組み込まれたソフトウェアをインターネット経由でアップデートできる仕組みを整備しており、バグの修正や自動運転の精度も高めていくことが可能だ。
Teslaの「モデルS」は、2020年をめどに電気自動車(EV)で「完全自動運転」の実現を目指しており、ITを駆使し、自動車の研究開発から設計、製造、販売、アフターサービスなどを手がけることのできるTeslaは、Googleよりも自動車業界にとっては大きなインパクトをもたらすかもしれない。
既存自動車メーカーの動き
日本では日産自動車が2013年8月に「日産自動車、自動運転の取り組み」を公表し、2020年代の実用化を目指して電気自動車(EV)「リーフ」をベースに、自動運転に対応した新しいHMI(human machine interface)も含めて、開発を進めている。
トヨタ自動車は、2014年11月にレクサスGSをベースに、高速道路でのテスト走行用を目的に、360度の3Dレーダーを小型化して車両に納めた自動運転車を公開した。トヨタ自動車では、自動運転技術を採用したクルマを2~3年を目途に市場に投入する予定だが、運転者を支援する範囲での実現を想定している。
さらに2014年10月に発足した運転支援システムなどに関わる技術仕様・規格の検討などを行う「ITS Connect推進協議会」への参画を通じて、これらの自動運転技術の環境整備に取り組んでいる。
そのほか海外では、Daimlerや、GM、BMW、Ford、VolkswagenグループのAudiなど、自動運転車の実用化に向けて開発を進めている。
Daimlerは、2025年までに大型トラックの自動運転の実用化に向けて、MercedesBenzのコンセプト車「Mercedes Benz Future Truck 2025」の開発を進めている。
BMWは4基のレーザースキャナを搭載した「BMW i3」に「Remote Valet Parking Assistant」というシステムを搭載し、運転手がスマートウォッチから自動駐車の操作を指示したり、スマートウォッチに音声指示をすると運転手がクルマを使う時間を割り出し駐車場の出口までクルマが自動的に出てくるといったことができるシステムを開発しており、CES 2015でもデモを行っている。
Audiは「Audi RS 7」をベースにした自動運転車のコンセプトカーの「ボビー」を発表し、2014年10月のテスト走行ではF1世界選手権ドイツGPの開催地のドイツのホッケンハイムのグランプリコースにおいて最高時速240キロを出しながらも正確なブレーキやコーナリングを行い、コースを一周。さらに、2015年1月のCES 2015の開催にあわせて、シリコンバレーからラスベガスまで、約900kmを自動運転で走行した。
後編では、自動運転車に対する政府の取り組みやそのメリット、デメリットを解説する。