2015年はエンタープライズモバイルの始まりの終わり--米モバイルアイアンの予測

NO BUDGET 2015年01月12日 07時00分

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 企業向けモバイル管理ソリューションを提供するモバイルアイアン・ジャパンは1月7日、2015年のエンタープライズモバイルにおける7つの予測を発表した。それによると、2015年はエンタープライズモバイルの始まりの終わり、そして従来型のエンタープライズコンピューティングスタックの終焉の始まりの年でもあるという。

 今回の7つの予測は、米MobileIronの戦略担当バイスプレジデント、Ojas Rege氏によるもの。Rege氏は2008年に入社したMobileIronで、企業版App Storeを含むモビリティに関する5つの特許を取得し、2007年創業の同社を7500社以上の顧客を抱える規模に導いた立役者。戦略担当バイスプレジデントとして、製品開発や企業戦略の責任を負っている。

 Rege氏は、今回の7つの予測において、過去30年以上かけて構築されてきた核となるITアーキテクチャとガバナンスモデルへの影響について語っている。

 2015年に予想される7つの大きな変化は以下の通り。

(1)収益源になっているビジネスプロセスがモバイルに移行

 2015年には企業が取引、関係管理、営業活動用のプラットフォームとしてモバイルを利用し始め、さらに多くの業界でこの傾向が見られるようになる。民間企業は決算報告で、市場での優位性とビジネス拡大のための主要因としてモバイル戦略を挙げるようになっていく。

(2)Windows 10がPC経済の終焉を助長

 Microsoftは時代の変化に気付き、自社にとっては決して喜ばしくはない戦略をあえて採用しようとしている数少ない保守的企業の1つ。Windows 10は、Windows OSを最新のサンドボックスアーキテクチャに移行する。

 これにより、高価で複雑、そしてセキュリティ確保も困難なWin32アプリケーションは、今後かなりの時間をかけてながらも消えていく。アンチウイルス・エージェント、システムイメージ、VDI、VPNソリューションを含む、現在のようなPC経済は恐竜のように消えてなくなる運命となる。

(3)テクノロジー業界では「モバイル優先」のための再編が始まる

 エンタープライズコンピューティングでこれまで業界をリードしてきた企業は、長年モバイルの重要性を見過ごし、モバイルに十分投資していなかったことに気付くだろう。その結果、2015年には長期的な「モバイル優先」のための再編が必要になる。

 しかし、新たな世界を開拓するためには、既存のビジネスを犠牲にしなければならない。これまであらゆる業界のトップ企業幹部のうち、ブレークスルーを目の前にしてこのように難しい判断を下すことができたのはごくわずかだった。

(4)ウェアラブルによって「データスナッキング」が実現

 2015年発売予定のApple Watchをはじめとするスマートウォッチが消費者の間で普及すると、雇用者側はスマートウォッチの職場での画期的な使用法を模索し、「データスナッキング」という言葉が、カスタマイズされたウェアラブルアプリケーション関連の業界用語として使われるようになる。

 例えば鍵の通信やワークフロー完了通知などが考えられる。これが成功することによってウェアラブルカテゴリ全体でのハロー効果が生まれ、ウェアラブルによってエンタープライズエンドユーザーはモノのインターネット(IoT)によるメリットを初めて実感できるだろう。ただし、IoT全体としては、本格的な普及は2016年以降と考えられる。

(5)モバイルデバイスがライフクリティカルになることで、プライバシー面での問題による痛手が大きくなる

 「プライバシー」という名の巨大な嵐がやってくる。たとえどんなに素晴らしいモバイルサービスであっても、エンタープライズに導入するためには、個人情報のプライバシーが保護されているという安心感が社員の間で得られなければならない。

 iOSにApple Pay、HealthKit、HomeKitが登場することで、会社から支給されているデバイスを使用して、社員が健康維持に重要な個人的な作業を実行することが多くなると考えられ、プライバシー面で問題が発生した場合、規模の大小にかかわらず、あらゆる企業が大きな代償を払うことになり、社員からも非難されることになる。

 単に規制要件を満たせばよいというのではなく、社員の安心感と信頼を勝ち取ることが必要。

(6)モバイルはビッグデータのフィーダーシステムになる

 モバイルに移行するビジネスプロセスが増えるため、コアフィードとしてのモバイルデータがなければ、満足のいくビジネスインテリジェンスが得られなくなる。ウェアラブルとIoTが進化することで、世界中でビジネスデータを生成するデバイスの数が驚くほど増えるだろう。やがて、常にデータを求めているビッグデータソリューションにとって、モバイルが主要なフィーダーシステムになる。

(7)モバイル分野での成功がCIOの職務要件のトップ3にランクインする

 最高情報責任者(CIO)を新たに採用する最高経営責任者(CEO)は、2015年末までに、職務要件の上位に「モバイル分野での成功」を挙げるようになる。新たなエンタープライズITモデルでは、CIOにはスピードとコラボレーションが求められる。

 優れたCIOはアジリティ(俊敏性)の高いチームを編成することでモバイル分野での成功に導き、テクノロジの変化に順応する。このようなチームには、モバイルユーザーエクスペリエンスの設計とアプリケーション開発のスキルを備えた人材が配属され、彼らによってリスクプロファイルが一新され、モバイルアーキテクチャを核としたセキュリティモデルを構築する。

 こうすることで、根本的に異なるプラットフォームに、従来型のWindowsセキュリティアプローチが適用されないようにする。このように、ますます変化の激しくなっていく環境になじめないCIOは、同僚に対する影響力が低下してしまうだろう。

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