プライバシーと揮発性メディア
Pew Research InternetとLife Projectが2014年11月に発表したある調査は、少なくとも米国では、プライバシーに対する一般の見方が悲観的になってきていることを示している。調査対象の成人のうち91%は、われわれが個人情報の収集について制御を失っているという考えに、強く同意している。また成人の88%は、インターネットから不正確な情報を排除するのが非常に難しいということに、同意または強く同意している。

提供:Pew Research Internet
Edward Snowden氏がリークした、米国政府が行っていたインターネット上の調査などに関する記事の影響もあり、ユーザーが暗号や、「Snapchat」や「Whisper」などの情報が短時間しか残らないメディアを利用する傾向が強まっている。New York Timesのテクノロジコラムニストは、この台頭しつつある空間を「消去可能なインターネット」と呼び、ユーザーに利用を呼びかけている。筆者の個人的な感触では、これらのサービスの普及によって情報の集積は減っていくが、ユーザーがよりざっくばらんに話し合えるチャンスが増えるかもしれない。
Webb氏はあるインタビューの中で、「人々が場所を共有するソーシャルネットワークの台頭は、われわれのデジタルプライバシーの感覚を徐々に崩してしまった」と話す。「ある種の写真を公開したいという願望は、今後弱まっていくかもしれない。情報がいずれ消えることは、ユーザーにある種の満足感をもたらし、心理的・感情的な壁をなくす。Snapchatは、何でもデジタルで保存しておく癖のある人々に、そのような習性を克服するチャンスを与えてくれるかもしれない」(Webb氏)
Pew Research Internetが2014年12月に発表した別のレポートで詳しく説明されているが、専門家もプライバシーの将来については悲観的だ(情報開示:筆者自身もこの調査の対象の1人だった)。
継続的注意力断片化と「チラ見メディア」
2015年には、多くの人がAppleやその他のメーカーが作ったスマートウォッチを着けるようになるだろう。そういったユーザーは、ほかにもさまざまなウェアラブルデバイスを身につけて使うことになる。これらの新たなインターフェースの増加が、「チラ見メディア(glance media)」の進化を促進し、移動中の人々は振動を感じたり、ビープ音を聞いてデバイスをチラ見するようになるだろう。これは、多くの人が常に複数の会話や活動に注意を分散する、「継続的注意力断片化(Continuous Partial Attention)」の状態になる可能性が高いことを意味している。
「これは重要なことには思えないかも知れないが、わたしは非常に重要だと考えている」とWebb氏は述べている。