「継続的注意力断片化の考え方は、しばらく前にLinda Stone氏が提唱したものだ。興味深いのは、われわれが1つのメディアだけに集中している状態は少なくなっていると考えられることだろう。テレビ番組だけを見てセカンドスクリーンを持っていない状態や、携帯電話を完全に無視して誰かと話し込むことは少なくなっている。新しいのは、これを問題ではなくチャンスだと捉える考え方だ。一度消費者が流れを作ってしまえば、それを逆転させるのは難しい。今後ユーザーが、コンテンツの消費中や、ほかの人と話しているときに、別のスクリーンをまったく意識しなくなるというのは考えにくい」(Webb氏)
Webb氏の説明では、変えなくてはならないのは、それらのデバイスを身につけている人たちに提供する情報や体験をデザインする方法だ。
「ユーザーは、時計で文章を読む態勢にはなっていない。そもそもデバイスの形態がそれに向いていない。ユーザーはそれをチラ見するのだということを意識していれば、別の形で活用できる」とWebb氏は言う。
ボディエリアネットワークとハッキング
2015年には、より多くの医療機器がインターネットに接続されるようになる。それにより、自分の体の状態を把握する方法が変わり、その情報を医療機関と共有するようになるだろう。
「ユーザーに大きな恩恵を与える医療機器は非常に多く、それをきっかけに病院に行くという人も出てくるだろう」とWebb氏は言う。「経口で体内に入れるものも、体内埋め込み型のものもあれば、ブレスレットやウォッチのようなウェアラブルデバイス型のものも考えられる。われわれの健康情報は収集され、サードパーティーが提供するネットワークのハブに保存され、その情報がまた手元に戻される。問題は、データは常に暗号化されているとは限らず、デバイスも常に安全であるとは限らないことだろう。多くの人は気づいていないが、ユーザーはみな自宅で使っているISPなど、自分たちが使っているネットワークが抱える問題にさらされている。パニックを煽るつもりはないし、ボディエリアネットワークがハックされる可能性は低く、ユーザができることは少ないが、ハッキングは不可能ではない」(Webb氏)
2014年末にソニー・ピクチャーズからテラバイト単位のデータが盗まれた事件が世界のトップニュースを飾ったのを始め、近年多くのデータ漏えい事件が報じられているため、多くの人がこの種の脅威を意識し始めている。2015年には、便利さとセキュリティのトレードオフの問題に悩まされる人が多くなるだろう。残念ながら、単によいパスワードを選ぶだけでは十分ではない。
最後に
Webbmediaのレポートには、アルゴリズムを含め、ほかにも多くのトレンドや発想について記されている。
「アルゴリズムが何かを理解し、それがどう機能するかを理解することは、アルゴリズムの及ぼす影響ほど重要ではない」とWebb氏は述べている。「われわれは毎日、前の世代の人たちが一生の間に生み出したよりも多くのデータを生み出しているが、自分たちはそのデータを所有しておらず、そのデータがどこに保存されているかも知らない。逆の立場にいるのは、アルゴリズムを作り、プロセスを改善する開発者やプログラマーと、計算プロセスだ。彼らは、以前には不可能だった水準の効率性を生み出すことができる。問題は、日常を生き、データを生み出しているわれわれが、そのプロセスから隔離されてしまっていることだ」(Webb氏)
アルゴリズムの隠された、大きくなりつつある力が、2015年の最も重要なテクノロジトレンドになるのだろうか。それとも、別の何かが来るのだろうか。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。