Rock SecurityのリードデベロッパーであるMichael Taylor氏も同じ意見だ。「GoogleはMicrosoftに、この問題に有効なパッチを特定し、それを作成するための時間を十分に与えた。Googleがこの脆弱性を公表する前に、Microsoftがこの脆弱性に対処する時間は、パッチ公開サイクル2回分あった。疑問なのは、Microsoftがこうした脆弱性にタイムリーに対処できなかった、あるいは対処しようとしなかった理由だ」
それは信念に基づいた公開の仕方だといえる。Googleにはしっかりとしたポリシーがあり、Microsoftに(あるいはほかのどんな開発者にも)特権あるいは追加の時間を与えるという前例を作るつもりはないことに、筆者は敬意を表する。それは破滅にいたる道だ。Microsoftに今回、2日の追加時間を与えれば、次回はOracleが3日余分に欲しいと言ってくる。そうなれば、その次は1週間というように、どんどん延びてしまう。
相容れないのが、「協調的な脆弱性の公開(CVD)」は、研究者と開発者が一般の人々の利益を最優先し、連携して取り組みを行うことを前提としているのに対し、「責任ある脆弱性の公開」は、開発者にパッチ作成のための十分な時間を与えることなしに、脆弱性の詳細や脆弱性実証コードを一般に公開しないということを意味する、という点だ。Googleが頑なに守っている90日間の猶予期間を伴う公開ポリシーは、こうした定義に基づけば、協調的な公開と責任ある公開のどちらでもないように思える。
セキュリティ企業Tripwireの最高技術責任者(CTO)であるDwayne Melancon氏は、次のように強く主張している。「今回の場合、Googleが90日の猶予期間を画一的に適用したことは、広く普及しているソフトウェア製品について、悪用されうるセキュリティの脆弱性を実証コードとともに公開するという、無責任な行為につながっている。これは、ベンダーに対して、セキュリティ面の修正を真剣に受け止め、解決に向けて素早く行動する必要があるというメッセージにはなるかもしれないが、脆弱性がこのような形で公開されても、それが消費者や企業にとってのメリットになるとは思わない」
Microsoftのようなベンダーは、悪意のある攻撃者がパッチ適用前に脆弱性を発見し悪用することがないようにするだけでも、懸念すべきことを多く抱えている。研究者が早すぎる段階で脆弱性を公開し、ユーザーを不要なリスクにさらすことまでもMicrosoftが懸念する必要はないはずだ。その研究者が、豊富な資金を持つ評判の良いベンダーであり、図らずもMicrosoftにとって最大のライバル企業であればなおさらである。
Melancon氏が言うように、「それは前向きな発展とは思えない」のである。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。