三国大洋のスクラップブック

グローバル家電ブランドの可能性--シャオミの台頭と中国「U30」世代の意識

三国大洋 2015年01月20日 06時30分

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 以前に紹介したStratecheryのBen Thompsonが、年明け第1弾となるコラムで中国のXiaomiを採り上げていた。2014年あたりから何かと話題が目立つようになったXiaomiについては、ここでも一度触れたが、「Xiomiの野望について(“Xiaomi's Ambition”)」と題されたThompsonのコラムには、次のような一節がある。

Xiaomi製品の保有率が低い30歳以上の世代では、伝統的に自国のブランド(=中国メーカーの製品)は「安くて二流のもの」と見下されていた。Appleやその他すべての西側=欧米のラグジュアリーブランドが売り込みに大成功したのがこの世代。それに対して、「Xiaomi世代」ともいえる20代以下は、中国経済が毎年2桁成長を続ける中育ってきた世代。彼らにとって、自分の国は物心ついた時からずっと「世界の大国」であり、故に彼らの間には中国製ブランドに対する偏見も存在しない。Xiaomiはそうした愛国的な心情を巧みに突いている。同社のマスコットが赤い一つ星のついた帽子を被り、真っ赤なスカーフを首に巻いているのはその証拠…(註1)。

 この一節は、Xiaomiユーザーのデモグラフィー(年齢構成)に関するFlurry(米Yahoo!傘下のモバイル関連調査会社)のデータを踏まえたものだが、引用されているグラフをみると、25~34歳と18~24歳といった若者世代からXiaomiが強く支持されていることがわかる(同時に、35歳以上の世代にはあまり人気がない、ということも)。

 Xiaomiに関するニュースが米英の媒体で目立つようになったのは、おそらく2年あるいは1年半ほど前のことだったと思う。ただ、これまで「ハイスペックでデザインも洒落た(=Appleの物まねのような)製品を手頃な価格で提供したのが成功の秘訣」云々といった説明を目にする度に、「それでも結局のところ、iPhoneに手の届かない人たちに向けた代替品に過ぎないのでは?」「懐事情さえ許せば、多くの人がiPhoneをやはり選ぶのでは?」といった疑問を感じることが多かった。

 しかし、Thompsonのこの指摘が正しいとすると、Xiaomiに対する捉え方は大いに違ってくると感じられた。

 Thompsonはこのコラムで「Xiaomiが中国初のグローバル家電ブランドになる可能性」といった事柄について考察を加えているが、ここで「グローバル」というのはほぼ新興市場のことを指したもの。Xiaomiがまず中国を押さえ、次にインド、インドネシア、ブラジル、ロシアと人口の多い順番に新しい市場に参入し始めているのは既報の通りで、またThompsonは次のようにも記している。

米国は確かに人口は3番目に多いかもしれないが、すでにAppleファンがいるし、どこの家庭にも電化製品はあるし、しかも知財の問題はやかましいし…。今のXiaomiには、そんなところにかかずらう必要もなかろう(註2)。

 それよりも興味を引くのは、先に述べたような意識を持つ若い世代がXiaomiの熱烈な支持層となりつつあること、そしてXiaomiではこれからそうしたファン層に向けてさまざまな家電製品やサービスを供給していくことになる、といった見通しだ。

 Thompsonは、このコラムの枕話として「Apple製だから」という理由だけで必要かどうかも定かでないバッテリチャージャー(単3の充電式乾電池用のもの)を手に入れた、かつての同僚のエピソードを紹介している。そして、そういうファン層がXiaomiにもすでに存在し、彼らがこれから結婚し、自分たちの家庭を持つのにあわせてXiaomiのテレビやセットトップボックス(STB)、空気清浄機、浄水器などいろんな製品を買い揃えるようになるといった可能性も挙げている。

 そうした点まで含めてみると、Xiaomiにとってスマートフォンは、「ライフスタイルブランド」としての評判を勝ち得るための手段、という見方も成り立つかもしれない(註3)。

 Xiaomiにそういう大きな構想がなければ、「450億ドルの時価総額もつかなかっただろうし、11億ドルもの資金も集まらなかったはず」などともThompsonは記している。

 2014年末に発表されていた、この資金調達でリード役を果たしていたのがDST Globalというファンドで、同社のYuri Milnerは「Xiaomiはいずれ1000億ドル規模の評価額をもつ企業になる」などとコメントしていた。FacebookやAlibabaなどへの投資で“当てた”実績を持つMilnerの発言だけに「単なる投資家のポジショントーク」では片付けられないのではないかという感じもする。

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